MR
001
SSFP法にTime-SLIPパルスを用いた腎動脈描出法の検討
MR1
竹下 洋平 宮崎大学医学部附属病院 放射線部
【目的】Time-SLIPパルスを用いてBBTIを変化させることで腎動脈の抽出が可能となった。3D SSFP法を用いて、腎動脈分離能力を検討した【方法】1.流速ファントムを用いて3D SSFP法にTime-SLIPパルスを用いBlack Bioodプリパルスの時間(BBTI)を変化させ描出能を比較した。2.3人のボランティアを、3D SSFP法にTime-SLIPパルスを用い腎動脈を撮像した。変化させたBBTIは600〜1700mseである。又得られた画像より、腹部動脈、腎動脈のSNR及び視覚的評価を行った。3.実際に患者に使用し、有効性を検討した。【結果・結論】ファントムにおいて、流速を変化させると、Time-SLIP領域で描出できる画像に変化があり、流速が変化するとBBTI時間を最適な時間に設定する必要があった。ボランティアの撮像では、腹部動脈、腎動脈のSNRは1000〜1300msecで高い値を示し、視覚的評価でも腎動脈の描出が良かった。BBTIを長く設定すると流速の遅い血管が、描出される傾向にあった。
MR
002
MP-RAGEシークエンスの基礎的検討
MR1
高木 祐一 天草地域医療センター
【目的】MP-RAGEとはMagnetization Prepared Rapid Gradient Echoの略で、IRパルスを付加した3Dのグラジエントエコーシークエンス(3D-GRE法)である。通常のT1強調系3D-GRE法と比較し、T1コントラストに優れ、inversion time(TI)を変化させることで様々なコントラストが得られる。今回、MP-RAGEの各種パラメータについて基礎的検討を行い、シークエンスの最適化を行った。【方法】TR 、TI 、flip angle、スライス数を変化させ、自作ファントムとボランティアの頭部を撮像し信号強度を計測した。【結果・結論】MP-RAGEでは1回のTRでスライス数と同数の位相エンコードを行っている。したがって、スライス数によりTRとTIが制限される。また、画像コントラストは基本的にTIにて変化するが、縦磁化の回復が完全ではない組織においてはTRでも変化するため注意が必要である。
MR
003
3.0T MRI における 3inch dual
coil の有用性について
MR1
佐藤 徹 産業医科大学病院 放射線部
【目的】 3.0TMR装置の導入により、頭部・腹部・骨盤等の撮影に関してはSNの高い画像が得られた。ただ、四肢の撮影に関しては適当なコイルがなく、Brain coil やFlex coilなどを使用して撮影していた。今回、3inch dual coilの使用経験を得て、より高分解能画像が得られたので報告する。【方法】 使用装置はGE社製 SIGNA EXCITEの3.0Tである。手関節や指・足部撮影など小さなターゲットに対して、Brain coil やFlex coilで得られた画像と3inch dual coilで得られた画像とを比較検討した。【結果・結論】 3inch dual coilでは撮像範囲がかなり狭くなり、コイルのセッティングに多少問題がある。しかし、3inch dual coilの方がより高分解画像を得ることができる。
MR
004
表計算ソフトを用いた全脊椎MR撮像のロカライズ法について
MR1
相川 勝彦 長崎大学医学部歯学部附属病院 医療技術部 放射線部門
【目的】悪性腫瘍の脊椎転移や脳腫瘍の髄膜播種などの検索目的において全脊椎MRの撮像が行われる。当院においては通常、全脊椎MRの撮像はsagittal像を中心にして、全脊椎を上半分、下半分の2部位に分けて行っている。今回、表計算ソフトを用いて、簡便で計画的なロカライズができる方法を考案した。【方法】全脊椎の上半分、下半分の2部位のSagittal像の撮像において、2部位のFOVを @同一にするA全脊椎が十分含まれるAより小さい この3点を満たすことを条件に、表計算ソフトMicrosoft Excelを用いて、ロカライズ法を考案した。また、高身長の成人や小児の全脊椎の撮像も考慮して、3分割の場合、分割しない場合についても対応可能とした。【結果・結論】この方法により一定の撮像時間で高空間分解能かつ画質の歪みが少ない画像が得られた。表計算ソフトを用いた全脊椎MR撮像のロカライズ法は全脊椎撮像に欠かせないものとなった。
MR
005
脳動脈瘤のMR Angiography:ファントム実験による1.5Tと3Tの比較
MR2
肥合 康弘 熊本大学医学部 保健学科
【目的】本研究の目的は、ファントムを用い脳動脈瘤の描出能を1.5Tと3Tで比較すること、およびそれぞれの磁場強度で撮像パラメータを変化させて脳動脈瘤描出の変化を検討することである。【方法】脳動脈を模擬した管腔ファントムに32個の疑似動脈瘤を配置し、この管腔内に拍動流ポンプを用いて模擬血液を流した。撮像条件は、TE(2.7-7ms)とマトリックス数(160-512)を変化させた。MIP像とVR像について2名の放射線科医が動脈瘤およびブレブの描出能を5段階評価した。【結果・結論】224×224未満のマトリックス数では、1.5Tと3T間で脳動脈瘤の評価に差は見られなかった。マトッリクス数が224×224以上になると3Tは評価が高くなるのに対して、1.5Tの場合は逆に評価が低下しSNR劣化の影響と考えられた。
MR
006
MRAによる脳動脈瘤プラチナコイル塞栓術後の評価:
ファントム 実験による1.5Tと3Tの比較
MR2
肥合 康弘 熊本大学医学部 保健学科
【目的】3T装置では、3D-TOF MRAでの画質向上が期待される一方、プラチナコイルを用いた動脈瘤塞栓後の評価については、磁化率アーチファクトの影響で画質の低下が危惧される。今回我々は、プラチナコイルで塞栓した動脈瘤ファントムを用いて1.5Tと3TによるMRAの画質を比較した。【方法】脳動脈を模擬した疑似動脈瘤を有する管腔ファントムの動脈瘤にIDC (interlocking detachable coil)を挿入した。このファントムに拍動流を流し、TEとマトリックスを変化させて撮像した。MRA画像は、2名の放射線科医が塞栓後の残存動脈瘤の描出能を5段階評価した。【結果・結論】】3T MRIでは、TEを3以下に設定することでプラチナコイルによる磁化率アーチファクトの影響を軽減でき、1.5T MRAより残存動脈瘤の描出において優れていた。
MR
007
VSRAD使用による早期ADの拾い上げ効果
MR2
川口 高志 白十字病院 放射線部
【はじめに】アルツハイマー型認知症(AD)の診断には、MRI・CTなどの頭部画像診断は欠かせないものになってきており、特に画像診断においては、認知症の症状が見られない早期ADの診断が重要となってくる。当院にも今年8月に早期ADに特徴的に見られる海馬傍回の萎縮の程度をMRI画像から読み取るための画像処理・統計解析ソフトであるVSRADが、導入された。【目的】当院の頭部MRI検査の患者の中で、AD疑いでない患者にVSRADを使用し、解析結果より陽性の割合を調べ、どれくらい早期AD疑いのかかる患者が潜んでいるかを検討する。【方法】年齢54歳〜86歳までの眩暈や頭痛などでMRI検査となった認知症又は認知症疑いの患者ではなく、かつ脳梗塞・脳出血などの脳疾患のない患者に限定し行う。なお8月導入の為、現在データ不足のため結果、考察は会場にて報告する。
MR
008
MRIにおける脳血管性認知障害の虚血病変領域の検出法の開発
MR2
山下 泰生 九州大学病院 医療技術部
【背景】MRI画像における脳血管性認知障害では、脳領域と虚血病変領域の面積比は脳血管性認知障害との相関が証明されている。【目的】虚血病変領域を検出する手法を開発し、虚血病変面積比を計測すること。【方法】我々の手法は、虚血病変領域が低信号となるT1強調画像と病変が高信号となるFLAIR画像との差分像に基づく。まず、差分像において、多重しきい値処理と領域拡張法を用いて高信号領域の候補を求めた。次に、T2強調画像を含む3種類のMRI画像で候補領域の多くの特徴量を求め、ルールベース法を用いて偽陽性領域を削除した。開発した手法を10名の患者に適用した結果を、Overlap Indexを用いて評価した。【結果】医師の決定したTRUTH領域と本手法による虚血病変候補領域のOverlap Indexは平均で、0.78となった。相関値は0.99であった。【結論】本手法による虚血病変候補領域の検出が有用であることが示唆された。
MR
009
Diffusion tensor imagingにおける1.5Tと3.0Tの比較
MR3
佐藤 徹 産業医科大学病院 放射線部
【目的】脳における拡散現象は白質線維に沿った異方性があり、拡散テンソルにより解析できる。また、3次元コンピュータグラフィックスの手法を利用して、Tractographyによる脳の各部位に おける拡散異方性の視覚的評価が可能となった。今回、テンソルカラーマップおよTractographyでの描出能について、1.5Tと3.0Tを比較検討した。【方法】対象は健常ボランティア8名で、1.5Tと3.0Tの両方でMPGの印加軸を6、13、29と変化させ撮像をおこない、テンソルカラーマップおよびTractographyを作成した。使用装置はGE社製SIGNA EXCITEの1.5Tと3.0Tである。2名の放射線科医がそれぞれの印加軸で得られたテンソルカラーマップおよびTractographyについて視覚的に評価した。【結果・結論】テンソルカラーマップ全体像の検討では、1.5Tと3.0T両者でMPGの印加軸を増加させるに従いカラーマップは鮮明となりノイズが減少した。また、3.0Tは1.5Tに比べすべての印加軸において髄枝の描出に優れていた。
MR
010
0.4TMRI装置における頚部拡散強調画像の検討
MR3
小味 昌憲 熊本大学医学部附属病院 中央放射線部
【目的】近年、腫瘍などの検出を目的として拡散強調画像を用いた体幹部撮像が盛んに行われるようになってきた。体幹部を撮像する場合最も問題となるのは、磁化率効果による歪である。しかし、最近では、パラレルイメージングを用いることにより、その問題をかなり改善することができるようになった。今回われわれは、低磁場MRI装置においても撮像条件面など工夫をすることによって拡散強調画像を用いた体幹部撮像ができる可能性があるのではないかと考え、0.4T装置におけるSingle Shot EPIを用いた頚部拡散強調画像撮像条件の最適化をはかった。また、その有用性をSTIRと比較することで検討した。【方法】使用装置は0.4TMRI APERTO INSPIRE ( 日立メディコ )で、拡散強調画像における撮像条件の最適化をファントム、およびボランティアを撮像することにより行なう。ボランティアに対してはその旨を十分に説明した上で同意を得た。検討項目としては、b-factor、脂肪抑制の方法、撮像方向等である。その最適化した条件により、STIR法と、拡散強調画像で頚部リンパ節転移の診断能の比較検討を行う。【結果・結論】磁化率アーチファクトは、磁場強度が低いほど低減するため、パラレルイメージングを用いなくても0.4Tの装置においてはかなり歪が少なかった。また、頚部領域の脂肪抑制については、磁場強度の高い装置では、IR法が多く用いられているが、低磁場では、CHESS法による脂肪抑制でもアーチファクトが少なく、しかもSNRが高いため最適な選択ではないかと考えられる。0.4Tの装置は、磁場強度の高い装置と比較すると、SNRは低下するが、磁化率アーチファクトが少ない等の異なった特性があり、その特性に合わせた撮像条件の設定が必要である。
MR
011
FLAIR法を用いた躯幹部拡散強調画像におけるT2
shine through低減の試み
MR3
加藤 広士 新別府病院 放射線科
【目的】躯幹部拡散強調画像においてT2 shine throughの影響を低減するために,high b value,short TEが必要である.しかし高性能でない装置ではhigh b value,short TEは不可能である.このような装置においてT2 shine throughを低減するためにFLAIR法による躯幹部拡散強調画像を試みたので報告する【方法】STIR法,FLAIR法による躯幹部拡散強調画像において,病変およびT2値の長い液体の貯留した構造物について比較検討した.【結果・結論】bfactor1000,TE=120及びbfactor500,TE=84のSTIR法との比較において液体の貯留した構造物の信号は明らかに低下し病変部とのコントラストは向上した. bfactor1000,TE=70のSTIR法との比較においてはS/Nの低下はあるものの, 液体の貯留した構造物の信号低下は十分なものであった.汎用機においてもT2 shine throughの影響を低減することが可能であり本法は有用な方法と考えられる.
MR
012
当院で発生したMRI室非磁性体物品持込みによる事故とその後の対策について
MR4
山神 昭彦 宮崎大学医学部附属病院 放射線部
【目的】当院MRI室にて発生した非磁性体物品(点滴スタンド)持込みによる事故とその後に行った対策について紹介する。【方法】事故発生の要因を分析し、改善点を検討し対策を行う。【結果・結論】今回発生した事故を分析し、再発防止のための対策を行った。また院内医療スタッフおよび患者様にMRI検査を行う上での注意事項等を再通知・周知して、協力をお願いしている。放射線技師においても、事故発生時の対応について再確認を行った。現状ではまだまだ不十分な点もあり、今後更なる改善を検討していきたい。
MR
013
3.0T MRIの使用経験 〜安全性について〜
MR4
佐藤 徹 産業医科大学病院 放射線部
【目的】 2005年4月に3.0TMR装置を導入し、現在まで1年半経過した。その中で、磁場強度の影響、RF発熱効果、吸引力、体内金属等の問題が生じた。今回、それぞれに関して報告する。【方法】 使用装置はGE社製SIGNA EXCITE 3.0THDである。導入当初から磁場酔いやRFによる発熱効果は問題であった。発熱効果は静磁場磁束密度の二乗に比例するので、3Tは1.5Tの約4倍となる。これにより比吸収率:SAR(specific absorption rate)の問題が顕著となる。規制により撮像条件が制限され、その影響で撮影時間の延長があった。対策として、ハードウェア的にはVERSEやMART等によるRFマネージメントを行なっている。【結果・結論】 3.0TMRIは1.5T装置に比べて種々の点で注意が必要である。今後新たに3.0TMR装置を導入される施設の参考になれば幸いである。
MR
014
当院で経験したMR検査時の各種トラブル事例
MR4
木村 知子 九州大学病院 医療技術部
【目的】当院でのMR検査時に経験した、各種トラブル(装置・磁性体金属・患者対応など)と、その後に行った対策について紹介する。【方法】各種事故発生の要因を分析し、対策・検討を行った。【結果・結論】以下のような再発防止の対策を行った。しかし、まだ不十分な点が多く、さらなる注意が必要である。 1装置関連 毎朝始業点検を行っているが、全てのコイルについて行うのは時間的に困難なためHeadCoilのみ行っているのが現状である。 2磁性体金属関連 身に付けているものについては問診を行い、撮影指示書にチェック欄を設け記入している。MR担当者以外は検査室になるべく入室させないようにし、金属持込によるトラブルを防いでいる。 3患者対応 検査着に着替えてから検査開始までの時間がなるべく短くなるように心がけている。また、検査着を長ズボンに変更し、皮膚の露出を少なくした。
MR
015
3.0TにおけるTEの違いによるBold
Venography
MR5
佐藤 徹 産業医科大学病院 放射線部
【目的】Bold Venographyは磁化率変化を強調した画像で、従来のT2強調像やT2*強調像より静脈 系の描出に優れている。さらに、1.5Tと比べて3.0Tの方が磁化率効果は大きい。今回、3.0T装 置を用いTEを変化させることで描出能に差がでるのか検討した。【方法】使用装置はGE社製SIGNA EXCITE 3.0Tで、3D-SPGR法を用い、TR/FA:42/18,FOV24cm、 Matrix192*320スライス厚:1.6mmとし、TEを10、20、30、40msと変化させてBold Venographyを撮像した。ある程度のスライス厚をもって画像化すると有用なため、最小値投影 法(Minimum intensity projection;MinIP)による再構成画像を作成し比較評価した。【結果・結論】3D-SPGR法でTEをより長く設定し、より磁化率を強調した方が静脈系の描出に優れている。
MR
016
3.0T MRIにおける脳病変の造影効果〜SE法、3D-SPGR法、FLAIR法での比較〜
MR5
川下 幸隆 産業医科大学病院 放射線部
【目的】T1緩和時間が延長する3TMRIではSE法による良好なT1強調画像を得るのが困難であり、 頭部検査では3DSPGR法やT1強調FLAIR法で代用されることも多い。造影MRIにおいても同様であ るが、3T装置におけるこれらの増強効果の特性は十分には検討されていない。今回、T1強調SE 法、3DSPGR法、T1強調FLAIR法における造影効果の違いを検討した。【方法】増強効果を伴う脳実質病変を認めた15例(64病変)を対象とした。使用装置はGE社製 SIGNA EXCITE 3Tでガドリニウム系造影剤を静注した後、3DSPGR法、T1強調FLAIR法、T1強調 SE法を撮像した。病変の描出能について、2名の放射線科医が、3つの撮像法で得られた水平断像 を評価した。【結果・結論】3mm以上の病変については、3つの撮像法間で視覚的評価に明らかな差はなかった。 3mm未満の病変でT1強調SE法はT1強調FLAIR法より病変の検出に優れていた。3DSPGR法は1.4mm 厚の水平断像ではすべての病変が描出された。
MR
017
3.0T MRIの使用経験 〜頭部領域〜
MR5
佐藤 徹 産業医科大学病院 放射線部
【目的】 2005年4月に3.0TMR装置を導入し、現在まで1年半経過した。その中で、頭部領域に関してSN・解像度・磁化率効果・T1緩和時間等の検討を行なった。【方法】 使用装置はGE社製SIGNA EXCITE 3.0Tである。この装置はGE社独自のツイングラディエントコイルを搭載し、最大傾斜磁場40mT/m、スリューレート150mT/m/msと高い性能を有している。導入当初はヘッドコイルのみであったが、7月に8ch brain coilが導入されパラレルイメージングが可能となり、撮影時間の短縮ができた。11月にはSIGNA EXCITE 3.0THDにバージョンアップされた。【結果・結論】 3.0TMRIは頭部領域に関して磁化率効果の増強、T1緩和時間の延長等の影響はあるが、SNの高い画像が得られた。今後新たに3.0TMR装置を導入される施設の参考になれば幸いである。
MR
018
3.0T MRIの使用経験 〜腹部・骨盤領域〜
MR5
佐藤 徹 産業医科大学病院 放射線部
【目的】 2005年4月に3.0TMR装置を導入し、現在まで1年半経過した。その中で、腹部・骨盤領域に関してSN・解像度・B1不均一性・T1,T2緩和時間等の検討を行なった。【方法】 使用装置はGE社製SIGNA EXCITE 3.0Tである。導入当初は使用するコイルがなく、whole body coilで撮影していたが、9月に8ch body coilが導入されパラレルイメージングが可能となった。11月にはSIGNA EXCITE 3.0THDにバージョンアップされ、新しく開発された LAVA(Liver Acquisition with Volume Acceleration)により3Dダイナミック撮像が可能となり、高速で高分解能な画像が得られた。【結果・結論】 3.0TMRIは腹部・骨盤領域において高いSAR、B1不均一性やT1、T2緩和時間の影響があるが、SNの高い画像が得られた。今後3.0TMR装置を導入される施設の参考になれば幸いである。
MR
019
1.5Tと3.0Tにおけるガドリニウム濃度の信号変化
MR5
川下 幸隆 産業医科大学病院 放射線部
【目的】 3.0TMR装置の導入により、SN比はどの部位に関しても1.5T装置と比べて向上したが、造影剤の特性に関しては十分に検討されていない。今回、造影剤濃度の変化による特性を調べ,3.0T装置の優位性があるか検討した。【方法】 使用装置はGE社製SIGNA EXCITE 1.5Tと3.0Tである。0.1mmolから10mmolまで16段階の造影剤濃度ファントムを作成し、SE法、T1強調FLAIR法、3D-SPGR法の3種類で撮像した。種々のパラメータを変化させ1.5Tと3.0Tの両方での信号強度を測定した。【結果・結論】 信号強度の測定から3.0TMR装置では造影剤の使用量を減らすことが可能である。
核医学
020
Accessデータベースを利用したアイソトープ検査業務管理システムの構築
杉松 繁樹 社会保険 小倉記念病院 放射線技師部
【目的】アイソトープ検査は使用する薬剤の性質上、前日までの予約は必須であり、予約の受付・変更も円滑かつ正確に行なわなければならない。また使用する核種によって届出最大使用量が制限されており、1日毎、3月毎、1年毎に管理しなければならない。さらに排気量も核種別に管理しなければならず、非常に煩雑な業務が多い。そこでこれらの業務を簡単かつ正確に行なえないかと考え、本システムの構築を行った。【方法】Access2000のVBAを活用してデータベースを構築した。データベースは医薬品管理、検査予約、検査台帳からなっており、簡単な入力操作で多くの情報を出力できるようにした。【結果・結論】本システムの構築により、従来非常に煩雑であった予約管理・薬剤発注管理・各種集計処理・核種別使用状況・廃棄物管理・核種別排気量管理等が一括で処理できるようになり、業務が円滑に行なえるようになった。
核医学
021
『FDG-PET検査におけるROI平均値、最大値でのRecovery
Factorの検討』
柳田 智廣 九州大学病院 放射線部
【目的】FDG-PET検査において、FDGの体内分布を半定量的に示す指標としてSUV値が臨床で用いられている。そのSUV値を正確に算出する際には、“組織18F濃度”が必要であるが、腫瘍の大きさによってPVEの影響を受けてしまうため、Recovery Factorを用いる必要がある。今回、ROIの平均値、最大値それぞれでのRecovery Factorに与える影響を検討する。【方法】ファントムを用いてROI18F濃度の平均値と最大値で、(μci/cc)を求め、それぞれの相関を調べる。SUV値の計算には、体重の値が必要である。今回、ファントムを用いる実験であるため(μci/cc)で求めた値をSUV値の代わりとして検討を行った。
核医学
022
脳SPECTにおける収集条件の違いによる最適線減弱係数および画像特性の検討
丸山 裕稔 国立病院機構 長崎医療センター 放射線部
【目的】当院の99mTc標識製剤を用いた脳SPECTでは、ファンビームコリメータを装着した多検出器を使用し、continuous modeで高解像度SPECT画像が得られている。しかし当院ではChang法による吸収補正に、線減弱係数0.15(水に対する99mTcの線減弱係数理論値)で設定していたため、症例によっては過補正が見られた。また脳血流検査を受ける患者様は意識障害のある方も多く、continuous modeの収集では、体動によりセンサーに触れた場合、収集がストップしてしまいスループットが低下する。そこで今回、センサーに触れても収集がストップしないstep modeとcontinuous modeにおいて、収集条件の違いによる線源弱係数と画像特性の比較検討を行ったので報告する。【方法】1) continuous又はstep modeで脳ファントムを撮影し、線源弱係数を変化させFlatnessの評価を行う。2) 1)で求めた線減弱係数を用い、continuous又はstep modeで脳ファントムを撮影し、物理評価と視覚評価の面から比較検討を行う。【結果・結論】最適線源弱係数を吸収補正に用いることで、過補正のない画像を得ることが出来た。また収集条件については定量性の問題もあり、それぞれの特徴を理解した臨床応用が必要である。
核医学
023
低中エネルギーコリメータを用いたGa-67イメージングにおける
散乱線等の補正法に関する検討
渡邉 裕之 熊本市立熊本市民病院 中央放射線部
【目的】当院では、Ga-67イメージングに対して低中エネルギー(GALME)コリメータ(シーメンス社製)を用いている。得られた画像にはTEW法による散乱線等の補正を行っているが、過補正による大幅な計数値低下が生じる。この原因を究明すると共に、効果的な散乱線等の補正法についても検討したので報告する。【方法】GALMEおよび中エネルギー(MELP)コリメータに対して、エネルギースペクトルとイメージによる解析、散乱線等の新しい補正法の考案および臨床イメージへの適用を行った。【結果・結論】93 keV光電ピークの低エネルギー側に含まれるコリメータ鉛からの特性X線(75 keV)成分がTEW法での大幅な計数値低下の原因であった。今回Ga-67イメージングのために新しく考案した方法は、光電ピーク内での計数値の引き過ぎを抑えながら効果的に散乱線等を補正できることがファントムおよび臨床イメージでも確認された。
核医学
024
In-111撮像におけるPenetration
Correction処理法に関する検討
川村 傑 済生会熊本病院 画像診断センター
【目的】In-111イメージングでは中エネルギー用(ME)コリメータが一般に用いられている。低中エネルギー用(LME)コリメータを用いれば空間分解能の向上が期待できるが、245 keVガンマ線によるコリメータ鉛隔壁透過が問題となる。今回、LMEコリメータ使用時における245 keVガンマ線について隔壁透過補正(PC)法を考案し、その効果について検討した。【方法】In-111ファントムに対して、171 keVと245 keVの2つの光電ピークウィンドウで別々に撮像を行った。LMEコリメータについては171 keV原画像とPC処理した245 keV画像を加算したもの、MEコリメータにおいては両原画像を加算したもので両者を比較した。【結果・結論】PC法を伴ったLMEコリメータ画像は、MEコリメータ画像に比べて数10%の計数率低下が生じるものの大きな空間分解能の改善がみられ、微少病変の検出に役立つと思われた。
治療
025
ファーマー型電離箱の2点電圧法における至適印加電圧検討の試み
〜印加電圧−電離電荷量応答特性評価による〜
線量測定、線量分布検証
尻枝 勝敏 社団法人八日会 藤元早鈴病院 放射線治療部
【目的】至適印加電圧をファーマー型電離箱応答特性から推定、極性効果およびイオン再結合補正係数再現性を指標として至適値の妥当性の評価・検討をおこなう。【方法】電離箱はPTW30013、測定は水ファントムでおこなった。線質は公称4、10MV-X線。印加電圧は-500〜-25Vの任意10点。印加電圧−電荷量応答曲線を確認し数学的解析により至適値を推定した。測定日を変え各補正係数を算出し300Vと至適値間で比較・検討した。【結果・結論】2点電圧法によるイオン再結合補正係数再現性は220Vが良好であった。至適値の評価基準は補正係数再現性とし、それより220Vと推定した。応答特性の比例域内の任意電圧点間電荷量比は一定であり良好なkS再現性が示唆された。再現性の高い係数導入は精確・迅速な校正・測定を保証する。現在、至適値設定の明らかな指標・根拠はなく評価は困難である。標本数が統計学的検定を満足しておらず継続的な解析により本法の信頼度を確認する必要がある。
治療
026
電子線の吸収線量測定における水等価ファントムの深さスケーリングとフルエンススケーリング係数の測定
線量測定、線量分布検証
坂部 大介 熊本大学医学部附属病院 医療技術部
【目的】JSMP標準測定法01では,水ファントムの使用が推奨されている.しかしながら,線量半価深R50<4g/cm2 (E0≦10MeV)の電子線の吸収線量測定では水等価ファントムの使用が認められている.水等価ファントムを用いた測定では,水ファントムに換算するための深さスケーリング係数Cplとフルエンススケーリング係数hplを求めておく必要がある.本研究では、水等価ファントムであるSolid water(RMI457),Tough water(WE211),RW3のCplとhplを測定した。【方法】水ファントムと水等価ファントムの深部電離量百分率曲線(PDI)の測定から電離量半価深I50を求め,深さスケーリング係数をCpl=I50,w/I50,plから得た.ここで,I50,wとI50,plはそれぞれ水と水等価ファントムの電離量半価深(cm)である。次にフルエンススケーリング係数は,校正深dc(cm)における水と水等価ファントムの電離量の比hpl=Mw/Mplから求めた.水等価ファントムにおける校正深はdc,pl=dc,w/Cplから得た.CplとhplはVarian Clinac 2100Cの4, 6, 9, 12, 16MeV電子線について測定した。【結果・結論】RMI457,WE211,RW3ファントムのCplは,それぞれ1.0,0.98,0.99であった.また,RMI457では実際の厚さを使用して水のPDIと一致し,WE211とRW3ではCplで補正することによって水のPDIと一致した.hplについては現在測定中であり,当日発表する.
治療
027
強度変調放射線治療における治療前検証用ツールの検討
フィルム法によるDDシステムと非フィルム法による2D−ARRAYシステム
線量測定、線量分布検証
福永 淳一 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】現在、強度変調放射線治療における治療前線量検証項目として、評価点線量と線量分布の検証があり、線量分布の検証方法としてはフィルム法による検証が一般的である。この検証用ツールとして当施設には、フィルム法によるDDシステムと非フィルム法による2D−ARRAYシステムとがあり、この二つのツールの検証精度を比較することにより、2D−ARRAYシステムの有用性を確認する。【方法】線量分布の検証を、DDシステムと2D−ARRAYシステムを用いて両者の検証精度、簡便性を比較検討する。【結果・結論】それぞれのツールとも日本放射線腫瘍学会による強度変調放射線治療に関するガイドラインに示される許容誤差範囲内におさまった。2D−ARRAYシステムはフィルム法と比較して簡便性に優れ、強度変調放射線治療における治療前検証用ツールとして有用である。
ペーシェントケア
028
放射線技師の接遇サービス向上の検討
―国立病院機構九州ブロック内アンケート調査報告―
池田 敏久 国立病院機構 九州がんセンター 放射線治療部
【目的】質の高い医療サービスとして、顧客(患者様)満足度の高い接遇が求められている。そこで、九州国立病院療養所放射線技師会(以下当会)では「接遇サービス向上に関する検討班」を立ち上げた。その活動の中で、当会所属施設でアンケート調査を行ったので報告する。【方法】1.自己評価のアンケート調査を行う。2.看護師、および患者様にアンケート調査を行う。3.各施設からクレーム事例を収集する。4.現状と問題点を考察する。【結果・結論】自己評価は、「できている」、「どちらかといえばできている」が多く、看護師、患者様からの評価も「満足」、「どちらかといえば満足」が多かった。しかし具体的な項目での評価から今後検討すべき点が明らかになった。また、クレーム等の事例はどの施設も同様の問題点を抱えていることもわかった。テキストや事例に対する対応例集などを作成し、これらを利用することで継続的な接遇教育が必要である。
ペーシェントケア
029
放射線治療ががん患者に及ぼす心理的・生理的影響について
太田原 美郎 鹿児島市立病院
【目的】今日、がん治療の現場では患者の精神的ストレスや様々な酸化ストレスによる組織損傷に関する研究が行われている。今回、酸化ストレスの生物学的マーカーであるバイオピリンに注目し、この濃度と心理・社会的なストレス状況とを比較検討することで放射線治療が患者の心理面及び生理面にどのような影響を及ぼしているかを調べた。【方法】心理・社会的ストレス状況を把握するための心理テスト及び酸化ストレスによる組織損傷を調べるための尿中バイオピリン測定を行った。【結果・考察】心理テストでは放射線治療前において精神的ストレスがみられるが治療開始後改善される尺度もあった。またバイオピリン値ではいったん減少し、その後増加するという結果が得られた。以上より、放射線治療を行うがん患者において、心理的・生理的なストレスが存在することが明らかとなり、患者の心理面を考慮した治療により酸化ストレスが軽減されることが示唆された。
医療情報・機器管理
030
半導体測定器 Unfors Xiの使用経験
坂元 成行 国立病院機構 鹿児島医療センター 放射線科
【目的】X線装置の管電圧、時間、線量等を管理するという目的から、当院において半導体]線測定器Unfors Xiを導入し、その測定器の性能と特徴について比較検証し、知見を得たので報告する。【方法】1、管電圧・撮影時間測定に対し、直接測定とUnfors Xiとの比較測定を行った。2、X線量・半価層の測定に対し、電離箱式測定器Radcal 9015とUnfors Xiとの比較測定を行った。3、Unfors Xiの付属機能である、@線質補償機能A管電圧波形について検証を行った。【結果・結論】]線装置を性能評価するためには、比較的容易に、しかも高精度な測定が可能な測定器が求められる。今回評価したUnfors Xiは、小型軽量でありながら、管電圧や撮影時間、線量、半価層に対する比較測定においても高い精度を示し、]線装置のQA・QCに十分対応でき、日常の]線装置管理に使用する上で、極めて有用であることが認められた。
医療情報・機器管理
031
当院における医用画像管理システムの運用管理経験と問題点
山澤 順一 水俣市立総合医療センター 診療技術部 放射線技術科
【目的】16列MDCTの導入に伴い大量に発生する医用画像情報を保管し、読影や参照の為に共有利用する目的で放射線部門医用画像管理システムを構築した。このシステムの1年間にわたる運用管理の実務報告と今後の問題点を報告する。【方法】ピーエスピー株式会社製 画像保管管理システム、読影用DICOMビューア、参照用Webビューアを用いて実際の運用を行い、1.画像発生量とサーバ容量の推移, 2.モダリティーから画像サーバへの画像転送時のトラブル,3.DICOMビューア、Webビューアでの画像表示上のトラブル等を調査し問題点を検討する。【結果・結論】実際に医用画像管理システムの運用管理を経験し、トラブル等を経験した。我々放射線技師は今後さらに発展する医用画像情報システムについて、医用画像管理の専門的知識、技術を備える事は大変重要であると思われる。
CT
032
冠動脈3DCTAを目的とした64列MDCT導入後の実績と問題点
心臓
中村 弘之 ハートライフ病院 放射線科
【目的】当院では、平成12年より東芝製4列MDCTが稼動していますが、今年5月より冠動脈3DCTAを目的としてPHILIPS社製64列MDCTが導入されました。今回は、5月からの冠動脈3DCTAの実績とそれに伴う問題点の報告を致します。【方法】1、5月より10月までの冠動脈3DCTの実績報告。2、冠動脈3DCTA作成時における問題点についての検討。【結果・結論】冠動脈3DCTAを始めた施設は何処も同じであるとおもいますが、3Dの作成に大変戸惑いました。画像作成者によって出来上がりが微妙に違うこと。濃度の変化の加減や付加するフィルターで狭窄率が変化すること。最適な位相を探すのに時間がかかること。総じて画像作成に時間がかかりすぎることなど我々が直面した多様な問題についてスタッフと検討した結果を当日の報告といたします。
CT
033
Coronary CTAにおける再構成関数の検討
心臓
岸川 誠 佐賀県立病院 好生館 放射線科
【目的】各再構成関数(腹部用BHCなし:FC11〜15)の画像特性を把握し、Coronary CTAに適した再構成関数を検討する。【方法】1)各再構成関数におけるXY平面の信号雑音比(SNR)をMTFとWSより算出する。2)自作ファントム(模擬血管)を撮影し、各再構成関数におけるXY平面上を直交している模擬血管のプロファイルカーブを作成しFWHMの値やCT値に変化があるか確認する。3)臨床画像を各再構成関数で再構成する。XY平面上血管のプロファイルカーブを作成し、変化があるか確認する。又、各再構成関数におけるCurvedMPR(CPR)像を作成して画質に変化があるか確認する。【結果・結論】解像度とノイズ量のバランスを考慮するとFC13,14が良好である。今回の結果を踏まえ、当院のCoronary CTAではFC13を使用する。
CT
034
32列MDCTを用いた心臓CTにおけるECG
Dose Modulationの検討
心臓
中島 裕介 大分大学医学部附属病院 放射線部
【目的】心臓CT検査において、一般的に心臓の動きがとらえやすいとされる拡張末期に、再構成に十分な線量を与え、それ以外は予め任意に設定した最低線量に調整する機能(以下、ECG Dose Modulation)が当施設の32列MDCTに、2006年9月に付加された。この機能によって、得られた画像について物理的評価及び臨床画像を用いた視覚的評価を行い、ECG Dose Modulationを用いない場合の画像と比較検討を行った。【方法】@ファントムを用いた物理的評価 A臨床画像を用いた視覚的評価【結果・結論】物理的評価の結果より、ECG Dose Modulationを使用しない場合と比べ、画質に有意な差を認めなかった。また、臨床画像を用いた視覚的評価の結果より、不整脈や息止め不良の患者を除く症例において、物理的評価の結果と同様の結果となった。 今回、付加された機能によって線量を低減することが可能となった。また不整脈等、患者の状態によっては、線量の低い部分での再構成も必要となるが、この様な場合もノイズ低減フィルタを併用することにより画質低下を抑えたまま低線量化を計ることが可能である。この機能を用いることによって心臓CT検査における被ばく線量の低減に寄与できると考える。
CT
035
頚部3D-CTAにおける造影剤によるアーチファクト(偽狭窄)の検討
造影技術
山口 広之 白十字病院 放射線部
【目的】頚部3D-CTAにおいて撮影範囲に大動脈弓が含まれる場合、生食フラッシュを用いアーチファクトを低減する手法は知られている。しかし、この手法を用いても、鎖骨下静脈停滞造影剤によるアーチファクトで偽狭窄を生じている症例を経験した。そこで、今回頚部3D-CTAにおける造影剤投与方法、及び撮影方法を検討する。【方法】マルチCT設置(2003年11月)以来、当院で行った頚部3D-CTAで鎖骨下静脈が撮影範囲に含まれているものについて偽狭窄の検討を行った。また、造影剤が持つCT値とアーチファクトについて実験を行い、造影剤投与方法、撮影方法を検討した。【結果・結論】高濃度造影剤で生食フラッシュをしても、鎖骨下静脈に大きなCT値を持つ造影剤が停滞する。それがビームハードニング効果を生じ周りのCT値をさげる為、偽狭窄を生じる。造影剤投与方法、撮影法を考案した結果アーチファクトは少なくなった。
CT
036
腹部造影CTにおいて生食水フラッシュが造影増強効果に与える影響の検討
造影技術
桑原 良二 国立病院機構 九州がんセンター
【目的】腹部CTにおいてデュアル・インジェクターで造影剤注入後生食水をフラッシュすることで、腹部血管、臓器の造影増強効果、造影剤注入量の減量の可能性についても検討した。【方法】・腹部CTが施行された症例に対し生食フラッシュ有無についての造影効果・生食水フラッシュ併用時の中、高濃度造影剤で造影したときの造影効果・肝癌、肝硬変症例にて高濃度造影剤使用時の生食水フラッシュの有無時の造影効果について比較検討した。【結果・結論】・生食水フラッシュにより、門脈、肝実質においてCT値が上昇しており統計的有意差を認めた。10%前後の造影剤減量が期待できる。・中、高濃度造影剤で造影した場合の比較では、CT値の上昇は認めなかった。・肝癌、肝硬変症例に対して高濃度造影剤使用時の生食水フラッシュした場合、腹部大動脈でCT値の上昇しており、統計的有意差を認めた。
CT
037
MSCTを用いた大動脈造影における造影能の適正化について
造影技術
奥村 秀一郎 済生会熊本病院 画像診断センター
【目的】Multi slice CTでの検査は撮影が短時間化したことで造影剤減量が各施設で実践されている。造影剤を減量する場合は造影能維持が必要とされるため、臨床データを基に大動脈造影での造影能の適正化について検討した。【方法】対象は大動脈造影検査を施行した患者107例で行った。十分な造影効果の指標として、平均CT値250HU以上とした。方法は、300mgI/mLヨード製剤100mLの群と、50mLを3.0mL/s、生食20mLを3.0mL/sで後押した群にて、上行大動脈から外腸骨動脈までの6カ所のCT値を計測し、平均CT値の比較し、更に50mL群より必要な体重当たりのヨード量を検討した。【結果・結論】100mLと 50mLの間で平均CT値に優位差は見られなかった。必要なヨード量は205mgI/kgとなったが、高い成功率を得られなかった。体重が60kg以下(250mgI/kg以上)になると、高い成功率を得ることができた。大動脈造影検査において、造影能の指標を250mgI/kg(0.83mL/kg)とすることで、体重に見合った造影剤量を選択し、造影能の適正化が図れると思われる。
CT
038
CT造影検査時における副作用発生率などの報告
造影技術
松崎 通孝 福岡大学病院 放射線部
【目的】本院では、2000年4月からCT検査時の造影剤による副作用(早期に限る)の集計を行っている。そこで、件数や造影剤種類別(4種)の比較などを行ったので報告する。【方法】2000年4月より2006年5月までの約6年間、CT検査中または検査室内にて起こった造影剤による副作用(早期に限る)を集計したのでまとめた。【結果・結論】本院での造影CT検査において、検査中または検査室内で起こった造影剤における副作用の発生率は0.79%であった。また、造影剤の種類はイオパミドール・イオメプロール・イオベルソール・イオヘキソールの4種類で比較した。結果は会場で報告する。今回の造影剤における副作用の結果は、即時性のみを対象としたものであるために発生率はかなり低い結果となった。
CT
039
フーリエ変換を用いた低コントラスト画像の評価
性能評価
酒井 崇行 九州労災病院
【目的】 視覚的評価による低コントラスト画像の検討は簡便に行えるように思えるが、その評価は判別できる試料の大きさと濃度によってのみ示されるので、あいまいになりがちである。 本検討では比較試料に対して数学的処理を行い、周波数空間における低コントラスト画像の成り立ちについて詳細な検討を行う。【方法】 CTによりスキャンされたファントム画像からファントム内の試料を囲むようなROIを取り出す。取り出した試料画像に対して二次元離散フーリエ変換を行い、その第一象限について周波数毎すなわち原点からの距離に応じて積分したものをグラフ上にプロットして比較した。【結果・結論】 フーリエ変換によって得られる周波数−信号強度曲線は低コントラスト画像の評価指標として利用できる可能性が示唆できた。
CT
040
CT用低コントラスト分解能ファントムの評価法の考案
性能評価
馬場 仁 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】 CT用低コントラスト分解能ファントムは種々のものがあり、球体ファントムの評価法は、ファントムの最小識別径を1点で評価する上、ノイズレベルの評価であるため再現性に乏しい。そのため、球体の全スライス位置での識別能をグラフ化し、その半値幅にて評価する方法を考案したので報告する。【方法】 低コントラスト分解能ファントム内の球体を、0.5mm間隔でスキャンし、球体が識別できるスライス位置を1、識別できないスライス位置を0としてグラフにプロットし、その半値幅を識別可能幅とする。また、異なる径の球体についても同様に行う。【結果・結論】 従来は、単一径のみでしか評価できなかったコントラスト分解能が、すべての径の評価が可能になった。
CT
041
当院における各CT装置間の低コントラスト分解能の比較評価
性能評価
吉川 英樹 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】 近年のCT装置は検出器が多列化し,thin sliceで広範囲を撮影できるようになったが,スキャンスライス厚と画質の関係の評価はあまり行なわれていない。そこで検出器の列数の変化に伴い、画質はどのような変化が見られるのか比較を行った.また各装置間での撮影時の照射線量の比較も行った.【方法】 マルチスライス用低コントラスト分解能測定ファントムを当院で使用しているCT装置(検出器は1列(1.0×1),4列(1.0×4、0.5×4),16列(1.0×16、0.5×16),64列(1.0×32、0.5×64))で撮影を行い、画質(低コントラスト分解能)の差と同一撮影範囲での撮影線量の比較を行った.【結果・結論】 低コントラストファントムの評価では1列検出器とMDCTの1.0mm検出器を用いて撮影したものの評価が高くなった.照射線量は1列検出器、64列検出器の装置で撮影したものが多くなった.
CT
042
64DAS- MDCT(Light Speed
VCT)における
画質評価のための基礎的検討
性能評価
下田 夏樹 健康保険諫早総合病院 放射線部
【目的】CT装置の性能を十分に引き出すために、装置の画質評価の基礎的実験を行ったので報告する。【方法】】MDCT用ファントムを、線量を変えながら撮像し、コントラスト分解能・空間分解能を測定し主観的に画質評価を行った。さらに、NI: 10-50でも同様に撮像し主観的に画質評価を行った。【結果・結論】低コントラスト分解能は、CT値が+65, 60HU相当のφ3mmの円柱・球については、全ての撮影条件で識別可能で、CT値が+55HU相当の円柱については、260mAから識別可能。高コントラスト分解能では全ての撮影条件でφ2oの球が識別可能。空間分解能はrotation time 0.8Secでは220mA以上で最小の0.51mmが識別可能。0.4Secでは520mA以上で最小の0.51mmが識別可能。管球スピードが遅くhelical pitchの小さいほど、高画質像が得られるが被曝線量は上昇する。これらのデータを基に画質を落とすことなく被曝低減を図ることを今後の課題にしたい。
CT
043
64DAS- MDCT(Light Speed
VCT)における
至適撮像条件決定のための基礎的検討
性能評価
氏原 健吾 健康保険諫早総合病院 放射線部
【目的】64DASMDCTにおいて、読影に十分な画質を保ちながら線量を低減することを目的とし、ファントムを使用して至適撮像条件決定のための基礎的実験を行ったので報告する。【方法】胸部ファントムN-1(Multi-Purpose Chest Phantom N1)に、CT値+100HU相当の球体で各大きさφ3,5,7,8,12mm 、CT値−800HU相当の球体で各大きさφ5,7, 12mmからなる模擬腫瘍を取り付け、ヘリカルピッチ:1.375・0.984・0.53と可変して各NI: 5-50で撮像し鮮鋭度・分解能を検討した。【結果・結論】全ての画像にて+100HUの模擬腫瘍φ3,5,7,8,12mmならびに、CT値−800HUの模擬腫瘍φ5,7,12mmが確認できた。胸部検診の撮影条件でもCT値−800HUでφ5・7・12mmの模擬腫瘍が確認できた。今回のファントムによる実験を基に、至適撮像条件を画質と被ばくのバランスの上で決定した。
CT
044
MDCT装置におけるストリークアーチファクト低減処理能の検討
画像再構成
齊藤 朋典 鹿児島大学医学部歯学部附属病院 臨床技術部放射線部門
【目的】CTで肩や骨盤を含む画像に発生するストリークアーチファクトを低減するBoost3D処理によるアーチファクト低減効果と画質について検討した。【方法】@キャットファントムの両端に高吸収体を置き、スキャンしてBoost3D処理の有無におけるCNRを比較した。A均一性モジュール部分の画像から解析を行い、WSを求めて処理の有無における粒状性を比較した。B円筒形の水ファントムの両端に高吸収体を置き、アルミ板をファントム中にはめ込んでスキャンし、エッジ法によるMTFを計算して処理の有無における空間分解能の影響を比較した。【結果・結論】Boost3D処理を用いる事で空間分解能を損なうことなくS/Nが改善された。画質の向上により読影医からも良い評価を得ている。
CT
045
CTにおける1024×1024マトリクス再構成画像の有用性
胸部HRCTへの臨床応用
画像再構成
羽手村 昌宏 熊本大学医学部附属病院 医療技術部
【目的】Philips社製CT:Brilliance64では、1024×1024マトリクス画像再構成が可能である。今回、胸部(特にびまん性肺疾患)へのHRCT(High Resolution CT)において1024×1024マトリクス画像再構成をおこない、その臨床応用を検討する。【方法】物理特性として、QA/QC phantomを使用し、分解能、ノイズを測定する。また、臨床において1024×1024画像再構成を行い、視覚評価を行う。【結果・結論】CTでは通常512×512マトリクス画像再構成である。びまん性肺疾患へのHRCTでは、FOV(Field Of View)を200mm程度に絞って、画像を再構成することが多い。分解能、ノイズを測定した結果、FOV200mm:512マトリクス画像とFOV400mm:1024マトリクス画像はともに同等となった。視覚評価については、会場にて報告する。
CT
046
腹部領域CTにおける量子ノイズ除去フィルタの有用性の検討
画像再構成
吉留 郷志 九州大学病院 医療技術部
【目的】本研究目的は、腹部領域のCT検査における量子ノイズ除去フィルタ(QDフィルタ)の有用性を検討することである。【方法】CTの腹部領域におけるQDフィルタの有用性を物理評価と視覚評価より検討した。物理評価は画素値の標準偏差(SD)とウィーナースペクトル(WS)の測定、ワイヤー法による変調伝達関数(MTF)の測定を行った。視覚評価は低コントラスト分解能の評価を行った。この結果を元に、同等画質の画像を得るための撮影条件や3D作成用画像への応用について検討した。【結果・結論】物理評価において、QDフィルタ処理によってSDは大きく低下し、WSにおいてもノイズ成分の減少が見られた。MTFにおいてはQDフィルタの有無による変化は見られなかった。また、低コントラスト分解能評価において、QDフィルタ処理した画像の微小球体に対する視覚評価は低下した。これより、QDフィルタ処理によって微細構造物の分解能が低下すると考えられた。
画像工学
047
液晶ディスプレイ(LCD)のROC解析における一考察
ディジタル画像表示
椎葉 拓郎 (医)同心会 古賀総合病院 放射線技術部
【目的】GSDF未対応の解像度が異なるLCD(18.1インチ2Mカラー,20.8インチ3Mモノクロ)について検出能の比較を行う.【方法】観察は10名の放射線技師で行い,作成した試料40枚(信号:20,信号+雑音:20)をそれぞれのLCDで観察した.なお,評定方法は連続確信度法を用いた. 解析ソフトはMetzらの開発したROCKITを用い,各LCDのAzについて両側t検定を行った.【結果・結論】Azの値は,2Mカラーが0.956,3Mモノクロが0.969でやや3Mの方が優れていたが,有意差は認めなかった(P=0.385).今回は,信号の大きさが4〜5mmであったため,各LCDの解像度の差は反映されず,両者のAzは1に近い値を示したと考える.また,ディスプレイサイズの違いや,GSDF未対応のため階調が同一でないことを含んだ結果であり,臨床においてもLCDの表示特性を十分に理解し,管理・使用する必要性が示唆された.
画像工学
048
液晶ディスプレイにおけるピクセル構造の違いによる画像への影響
ディジタル画像表示
日和佐 剛 九州大学医学部 保健学科 放射線技術科学専攻
【目的】液晶ディスプレイ(LCD)において多階調表示を実現させる方法としてピクセルの内部構造を変える技術がある.本研究ではピクセルの内部構造の違いが画像に与える影響について調べる.【方法】ピクセルの内部構造が異なる2種類のLCD(3メガピクセル(EIZO))を使用した.LCDに胸部ファントム画像を表示し,低コントラストで淡い陰影や高コントラストで細かい構造の見え方について観察しスコアをつけた.濃度分解能については, 8,10,12bitのグレースケールのテストパターンを表示し,階調が識別できるかどうかを調べた.【結果・結論】ピクセルの内部構造の違いによる胸部ファントム画像の見え方には明らかな差は見られなかった.濃度分解能については,8bitでは階調が識別でき,10bit以上では階調の変化を識別することが困難であった.よって10bit以上の階調をもつLCDではディジタル画像の情報を損なうことなく表示できる.
画像工学
049
医用モノクロ液晶ディスプレイの視野角評価
ディジタル画像表示
畠中 史朗 九州大学医学部 保健学科 放射線技術科学専攻
【目的】技術革新によって液晶ディスプレイ(LCD)の視野角特性は改善された。しかし斜め方向から画像を観察すると真正面から見たときとは異なった印象を受ける。本研究では、さまざまな角度から輝度を測定し、有効な視野角を調べる事を目的とする。 【方法】 望遠型輝度計を用いて、LCDに表示したテストパターン(AAPM:TG18)の輝度測定をして輝度の変化を調べた。また、ファントム画像を表示して異なる角度から表示画像を視覚的に評価した。【結果・結論】 正面から測定した輝度を基準にすると,低輝度から高輝度のすべてのテストパターンにおいて角度が増すと低い値を示した。その特性は低輝度より高輝度の方が顕著であった。画像に含まれる微細な構造の視認性は、角度が増すと低下する傾向がみられた。よって 医用ディスプレイを異なる角度から観察する場合,メーカーが定義する視野角よりも小さい範囲が有効な視野角であることが示唆された。
画像工学
050
液晶ディスプレイの輝度測定の精度と周辺光の影響について
ディジタル画像表示
堂込 清史 九州大学医学部 保健学科 放射線技術科学専攻
【目的】医用モニタの品質管理には,日本画像医療システム工業会の「医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン」があるが,このなかには輝度測定ついての具体的な記述はない.本研究では医用モニタの品質管理で基本となる輝度測定の精度について調べる.【方法】望遠型輝度計(LS100,コニカミノルタ)を用いたときの輝度測定の再現性,および周辺照度環境が輝度に及ぼす影響について調べた. AAPM TG-18のテストパターンを液晶ディスプレイ(LCD)に表示して,その輝度を測定した.【結果・結論】低輝度の測定は、高輝度の測定より低い再現性を示したが,輝度計の再現性の範囲内であった.また,明るい部屋(450ルクス)のもとで輝度を測定すると暗室での測定より高い測定値を示した.以上の結果より,望遠型輝度計でも良好な再現性を実現できるが,低輝度の測定では注意が必要である.また,明るい部屋は輝度測定には不適当である.
画像工学
051
X線ディジタル位相イメージングシステムの画像特性
位相コントラスト
樋口 小也夏 九州大学医学部 保健学科
【目的】乳房撮影用の小焦点X線管と高拡大を組み合わせた位相イメージングシステム(PCM:phase contrast mammography)が臨床に導入されており、特性に関しても既にいくつか報告されている。今回、PCMシステムが九州大学医学部保健学科に設置されたので、初期的な画像特性の結果について報告する。【方法】PCMシステムを用いて密着ディジタルシステム(通常システム)との比較を行った。まず、装置の物理特性として2つのシステムの入出力特性、粒状特性、解像特性、散乱線含有率などを測定した。画像特性では、マンモ用ファントムの撮影を行い、画像を用いた視覚評価を行った。【結果・結論】これまで報告されているように、PCMシステムでのマンモ用ファントムのX線像は、通常システムに比べてエッジが強調された画像が得られた。散乱線含有率の測定では、PCMシステムと通常システムの相違は見られなかった。他の物理画像特性については、現在測定中である。
画像工学
052
位相コントラストマンモグラフィ(PCM)装置による骨塩定量の基礎研究
(1)アルミニウム及び骨塩定量ファントムを用いた定量性の検討
位相コントラスト
磯見 裕子 九州大学医学部 保健学科
【目的】マンモグラフィによる乳がん検診は、今後ますます普及するものと予想される。マンモグラフィ撮影装置を用いて、乳がん検診と同時に簡便に骨塩定量を行うことができれば、骨粗鬆症の早期発見に大きく寄与するものと期待される。 我々は、最近注目されている位相コントラストマンモグラフィ(PCM)を用いて、骨塩定量測定についての基礎的検討を行った。【方法】PCM装置を用いて、アルミニウムステップ及び骨塩定量ファントムの上に水(またはルサイト)を重ね、1.75倍拡大撮影を行った。得られた画像のピクセル値を、入出力特性曲線によってX線量に変換し、それぞれの減弱曲線を測定し、減弱係数を実測した。次に、X線による減弱の式と、2成分の厚さが一定の関係式から、減弱係数の実測値を用いて各成分量を計算により求めた。【結果・結論】ビームハードニングの補正を行うことにより、2成分の定量測定が可能であることが示された。
画像工学
053
位相コントラストマンモグラフィ(PCM)装置による骨塩定量の基礎研究
(2)PCMと密着撮影の比較
位相コントラスト
新本 望美 九州大学医学部 保健学科
【目的】PCMは、高空間分解能のデジタル検出系を用いて1.75倍拡大撮影を行う。また、エアギャップによる散乱線除去効果により、スクリーン/フィルム系と同等かそれ以上の画像を得ることができるといわれている。これに対して、密着撮影はグリッドを用いた等倍撮影を行う。これらの二つの方法を用いて骨塩定量の基礎実験を行い、両者の比較検討を行った。【方法】PCM装置を用いて、0.2mm〜5mm厚のアルミニウムステップ及び骨塩定量ファントムと、20〜40mm厚の水ファントムを用いて、2成分系のPCM及び密着撮影を行った。減弱曲線から減弱係数及び実効エネルギーを求め、X線による減弱の式と、2成分の厚さが一定の関係式から、各成分量を計算により求めた。【結果・結論】ファントム厚が増加すると共に実効エネルギー、散乱線が増加したが、アルミニウム厚3mm以内ではほぼ同等の結果が得られた。
画像工学
054
ローパスフィルタ使用時の窓関数の検討
胸部CAD
森田 康祐 熊本大学医学部附属病院 医療技術部
【目的】近年、画像のディジタル化に伴い、その画像処理方法も様々な研究がされている。その1つにフィルタ処理があり、画像診断能を向上させるために、任意に画像を平滑化するローパスフィルタ及びフィルタ特性を有限領域に限定する窓関数が利用されている。我々は、画像の最適化のためにローパスフィルタ使用時の窓関数について検討したので報告する。【方法】画像解析処理プログラム(MATLAB)を用い、胸部単純X線画像をフーリエ変換することにより空間周波数成分を得た。これに理想的なローパスフィルタを使用して得た画像と、ローパスフィルタ+窓関数を使用して得た画像を比較した。窓関数としては、矩形窓、ハニング窓、ハミング窓を使用した。【結果・結論】理想的なローパスフィルタのみを使用した画像には、幅を持った格子状のアーチファクトが出現した。これは、周波数空間で有限であるフィルタ特性が空間領域では無限大でも0でない値を持つために現れたアーチファクトであった。このローパスフィルタに対して数種類の窓関数を使用することにより、アーチファクトを軽減・消失した平滑化画像を得ることができたので報告する。
画像工学
055
ファントムを用いた低線量CR撮影によるコンピュータ支援結節検出
胸部CAD
岡本 麻美 九州大学医学部 保健学科
【目的】胸部ファントムと模偽結節を用いて低線量computed
radiography(以下CR)撮影を行い、コンピュータ支援結節検出(以下CAD)の出力に及ぼす影響を検討した。【方法】直径12、15、20mmの球形模擬結節(CT値100HU相当)を、上肺野、中肺野、下肺野の肋骨と重ならない部位および、鎖骨、心臓、肺門と重なる部位の3部位ずつ計2回6部位に貼り付けCR撮影を行った。撮影線量は0.25-8mAsの6段階で変化させ、撮影画像に対しCAD(Episight /XR)を施し、各条件下での検出率と偽陽性数を算出した。【結果・結論】検出率は、線量増加に伴い上昇する傾向があったが、2mAs以上ではほぼ不変であった。偽陽性数では、線量増加に伴う変動は見られなかった。CRの低線量での撮影はCADの偽陽性数に影響は及ぼさないものの、検出率の低下をきたす可能性が示唆された。
画像工学
056
ファントム実験による経時的差分の結節描出能の検討
胸部CAD
伊藤 亜耶 九州大学医学部 保健学科
【目的】ファントムを用いたcomputed radiography撮影における、経時的差分画像での結節の描出能を検討した。【方法】胸部ファントムに約12mmの透過性が異なる5種類(CT値:100、0、-300、-650および-800HU相当)の模擬結節を貼り付け現在画像とし、過去画像は何も貼り付けないものを撮影し、市販のソフト(Truedia /XR)を用い経時的差分画像を作成した。模擬結節は既存の構造物と重ならない部位と、胸郭、心臓、肺門、横隔膜と重なる部位にそれぞれ貼り付け撮影を行った。全ての場合において、過去・現在画像の撮影間に位置の相違がほとんどない場合と、撮影のたびに新たに位置合わせを行った2種類を撮影した。【結果・結論】位置の相違がない群では、結節部位に関係なくCT値-650HUまでの結節であれば十分に描出され、位置あわせを毎回行った群では、CT値0HUまでの結節が描出された。
画像工学
057
ファントム撮影による体軸回転と前・後傾が経時的差分画像の画質に与える影響の検討
胸部CAD
山田 誠 九州大学医学部 保健学科
【目的】体軸回転と前・後傾を加えながらcomputed
radiographyによるファントム撮影を行い、さまざまな組み合わせの経時的差分画像を作成し、過去と現在画像の位置の相違が画質に与える影響を検討した。【方法】回転台にファントムを載せ、1度ずつのステップで、体軸回転は左・右前斜位を10度まで(計21)、前・後傾は5度まで(計11)撮影し、市販のソフト(Truedia /XR)を用い様々な組み合わせの経時的差分画像を作成した。経時的差分の画質の客観的評価法として、画像全体と肺野任意のROIでの標準偏差を算出した。また、アーチファクトの部位を視覚的に評価した。【結果・結論】過去・現在画像の相対的角度が大きくなるにつれて、画像全体の標準偏差は高値をしめし、高い相関関係を得た。部位別では、体軸回転では縦構造(心臓辺縁など)、前・後傾では横構造(肋骨、鎖骨)のアーチファクトが生じやすかった。
画像工学
058
CR長尺撮影における撮影条件の検討
CR・FPD
中村 嘉男 佐賀大学医学部附属病院
【目的】従来のフィルムスクリーンからCRにかわったので、全脊椎、全下肢について撮影条件の検討をしたので報告する。【方法】人体ファントムにて、従来の撮影条件(管電圧:80kV,管電流:400mA,撮影時間:40msec,距離250cm)を基準に管電圧、撮影時間を変化し、実験を行った。【使用装置、機器】X線発生装置:イメージングプレート:ST-VN(富士フィルムメディカル株式会社) グリット(AI):40本/cm,6:1,200cm 長尺カセッテ:大角(14×14)3連カセッテ【結果、結論】CR使用での撮影条件は、フィルムスクリーンと比較して、50%程度線量を減少し撮影可能であるが、線量を減少すると粒状性が低下する。
画像工学
059
CRプレート交換に伴う撮像因子の検討
CR・FPD
前田 利宏 福岡大学病院 放射線部
【目的】臥位CR撮影装置(REGIUS 550)のCRプレート交換に伴う撮影条件と画像処理パラメーターについて検討する。【方法】塗布型CRプレート(BaFl:Eu)と蒸着型CRプレート(CsBr)の比較を、@QCファントムによる評価、A粒状性の評価、B様々な撮影条件(kV、mAs、付加フィルター)での人体ファントムによる画像評価にて行い、撮影条件と画像処理パラメーターについて再検討する。【結果・結論】臥位CR撮影装置導入時よりこれまで、その撮影条件はFS系と同等としていたが、蒸着型CRプレート(CsBr)は塗布型CRプレート(BaFl:Eu)に比べて粒状性がかなり改善されており、撮影線量を約50%としても臨床上問題のない画像が十分得られることが判った。今後、更に低線量で高画質の画像が得られるように、様々な撮像因子について引き続き検討していきたい。
画像工学
060
希土類蛍光体方式とCsI蛍光体方式のFPDの比較
−C-Dファントムによる視覚評価−
CR・FPD
加藤 豊幸 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】 当院に設置されている希土類蛍光体方式とCsI蛍光体方式のFPDについて、C-Dファントムによる視覚評価を用いて比較を行った。【方法】 胸部撮影と腹部撮影を対象とし、胸部撮影は管電圧120kV・散乱体としてアクリライト8cm、腹部撮影は管電圧80kV・散乱体としてアクリライト20cmとし、希土類蛍光体方式FPDで使用している線量を基準とし、C-Dファントムをそれぞれ0.25〜2倍まで線量を変化させて撮影し、試料を作成した。試料の枚数は1線量ごとにそれぞれ4枚ずつ作成し、観察を行った後に IQF値を算出し、線量と検出能の関係を求めた。【結果・結論】 管電圧120kV、80kV 共に CsI蛍光体方式FPDの方が、希土類蛍光体方式FPDに比べ同一線量における検出能が高かった。
画像工学
061
血管造影撮影装置に搭載された直接・間接変換方式FPDの画質の視覚的評価
−FPD入射線量を変化させたときの透視時および撮影時の画質について−
CR・FPD
辰見 正人 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】直接・間接変換方式のFPD(flat panel detector)を搭載した血管造影撮影装置の透視時と撮影時の線量を変化させ、線量と画質の関係を求めるとともに、両者の比較を行った。【使用機器】撮影システム AXIOM Artis dBA(SIEMENS:間接変換方式) Infinix Celeve VC(東芝メディカル:直接変換方式)血管撮影QCファントム(OD−02A)血管ファントム【方法】 両装置の視野サイズ、パルスレートをほぼ同等とし、透視画像はFPD入射線量を変化させ得られたQCファントム画像で評価した。撮影画像は血管ファントムを使用し、FPD入射線量を変化させて撮影したDSA画像で評価した。画像評価方法は、観察室内の明るさを一定とし、各々の動画像をそれぞれ装置本体のモニタ上で観察し、視覚的評価を行った。【結果・結論】 透視画像および撮影画像における視覚的評価の結果、両画像ともに、入射線量が増加するにつれて評価点も高くなる傾向はあるものの、同等の入射線量付近での変換方式の違いでは有意な差はみられなかった。
血管造影
062
回転DSAでの造影剤濃度と描出能に関する検討
小谷 弘樹 鹿児島大学
【目的】回転DSAは撮影の間、造影剤を血管内に満たせておく必要があり、必然的に造影剤使用量が多くなる。造影剤を希釈することで使用する造影剤の量を減らすことができないか基礎的な検討を行う。【方法】@DSAファントムを用い、100%〜60%に希釈した造影剤を径の異なる径の異なる模擬血管内に封入し回転DSAで撮影する。Aワークステーションから造影剤濃度ごとにDSAファントムの径を測定する。B出力したフィルム上で3D画像を評価する。【結果・結論】@60%希釈で、模擬血管径3mm、2mmについて径の減少は10%と目立たないが、1.3mm、1.2mmは径の減少が目立ち30%〜50%の減少があった。A3D画像で、60%希釈の模擬血管3mm,2mmは描出できた。1.3mm,1.2mmに関しては希釈する度に欠損、不整が目立った。微細な血管像の描出が必要な脳血管領域では、造影剤の希釈は望ましくない。
血管造影
063
CアームCT (Dyna-CT)の基本性能評価
重谷 昇 九州大学病院 医療技術部
【目的】当院の血管撮影装置の更新に伴い、FPD搭載Cアームを導入しCアームCT (Dyna-CT)が可能となった。臨床使用に適した撮影・処理条件を把握するため、CT評価用ファントムを使用して基本的性能評価を行なった。【方法】CT性能評価用ファントムによる低コントラスト分解能、高コントラスト分解能、(コントラストの直線性)、血管ファントムによる描出能等を、撮影条件と処理条件を変化させて評価を行なった。【結果】Dyna-CTでは、撮影条件および処理条件の違いにより画質にさまざまな差が生じた。高コントラスト分解能は撮影条件を変化させても画質に大きな差は生じなかった。低コントラスト分解能は撮影条件に依存し、撮影時間を長く(プロジェクション数を多く)するほど良好となった。また各種アーチファクトも撮影・処理条件に依存することがわかった。【まとめ】Dyna-CTの基本的な性能を把握することができた。今後臨床での使用目的に即した条件を検討し臨床へ応用していきたいと考える。
放射線管理
064
鹿児島医療センターにおける被ばく低減施設認定への取り組み
第一報 小児胸部撮影条件の検討
管理システム
宮島 隆一 国立病院機構 鹿児島医療センター 放射線科
【目的】当施設では医療被ばく低減の活動を推進するために、医療被ばく低減施設認定の審査を受けた。審査では、小児撮影条件の決定方法の資料提示を求められた。小児胸部撮影条件について画質と被ばく線量低減の観点より、その妥当性について医師と共に検討を行なったので報告する。【方法】1小児を模擬したアクリルファントム10cm上に、凸型バーガーファントムを置いて従来の線量から段階的に45%まで減少させファントムを撮影して、技師による視覚評価を行ないIQFを算出した。2従来の線量から85.7、71.4%と変化させて各5症例小児胸部を撮影し、医師による視覚評価を行なった。【結果・結論】線量が減少するにつれて信号検出能は低下したが、57.1%低減しても検出能に有意差はみられなかった。また、小児胸部の視覚評価では、従来の線量と71.4%線量の間には有意差はみられず、71.4%でも充分臨床に耐えうる評価であったことより、約30%線量低減が可能であった。
放射線管理
065
鹿児島医療センターにおける被ばく低減施設認定への取り組み
第二報 心臓カテーテル検査における患者被ばくレポートシステムの作成
管理システム
天川 一利 国立病院機構 九州医療センター 放射線部
【目的】心臓カテーテル検査における患者被ばくのモニターでは如何に正確な局所被ばくの位置と最大皮膚線量の情報を習得するかが重要になる。今回、心臓カテーテル検査における医療被ばくの適正化と患者被ばく低減に役立てるために、局所被ばくの評価が可能な患者被ばくレポートシステムを作成した。【方法】面積線量計を用いて総線量を求め、さらに、撮影方向及び撮影条件等の情報は検査画像が記録されているDICOM CDから取得して入射線量変換式より局所線量を計算した。このシステムはDICOM CDをパソコンに入れ、被ばくレポートシステム(AppleScriptとMicrosoft Excelを用い、自作した)を起動し自動的に被ばくレポートを作成する。【結果・結論】この被ばくレポートシステムは、最大皮膚線量の位置(正判率94%)と線量をほぼ正確に表示可能であり、診療側にもカルテに記録として提供するができた。さらに術者は患者被ばくに対する認識が深まり、医療被ばくの適正化と患者被ばく低減につながった。
放射線管理
066
鹿児島医療センターにおける被ばく低減施設認定への取り組み第三報
放射線被ばくにおける各臓器リスク計算システムの開発
管理システム
渋谷 充 国立病院機構 鹿児島医療センター 放射線科
【目的】被ばくカウンセリングにおいて、検査履歴をもとに、モダリティイごとに分かれた臓器別被曝線量表から目的検査部位を拾いだし各臓器線量に名目致死確率係数をかけリスクを計算する作業はたいへん煩雑である。そこで、それらの作業を自動化し、自施設のデータをもとに患者の検査内容に即した各臓器線量や被ばくリスクを算出するシステムを開発した。【方法】1.モダリティイごとに検査部位ごとの臓器別被ばく線量の自施設データを測定する。2.検査管理データベースから検査履歴を取り出し、検査ごとの臓器被曝線量を求める。3.各臓器線量に名目致死確率係数をかけてリスクを計算する計算システムを構築する。【結果】自施設の臓器別被ばく線量データを患者の検査履歴と連動させることにより、患者の検査内容に即した、臓器線量、被ばくリスクを簡単に得ることができるようになった。また、リスクという概念に対する理解も深まった。
放射線管理
067
心臓カテーテル検査における被ばく線量の管理システムの構築
管理システム
今村 知之 公立新小浜病院 画像情報センター
【目的】当院では一般撮影をはじめ、CT、DRなどすべてのモダリティーのX線被ばくの線量測定の記録・管理をすでに行っている。今回、心臓カテーテル検査においても被ばく線量の管理システムを構築したので報告する。【方法】1.心臓カテーテル検査の撮影、透視時に装置付属の面積線量計で測定された皮膚の入射線量がリアルタイムに記録される。2.検査終了時に撮影条件および透視条件と共に被ばく線量が「EXAM PROTOCOL」として、データが表示される。3.院内ネットワークを介して画像情報センターのサーバーに転送する。4.そのデータをMS‐Accessを利用してデータベース化し、被ばく管理システムと連動した撮影台帳で参照可能とした。【結果・結論】心臓カテーテル検査における皮膚入射線量を撮影台帳でいつでも参照することができた。これにより患者個人のモダリティーごとの被ばくのトータルを管理する上において有用と考えられる。
放射線管理
068
心・血管造影検査時の撮影情報と患者被曝線量記録システムの開発
管理システム
小川 和久 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】心臓カテーテル検査や血管造影検査において、撮影情報や患者被曝線量の記録は、必要不可欠である。そこで、今回新装置の導入時に、記録システムを開発した。【使用機器】X線装置:Axiom Artis dBA・ dBC(SIMENS)Infinix celeve (東芝メディカル)造影剤自動注入装置: Zone Master(シーマン)【方法】検査ごとに、線量・透視時間・撮影角度・注入条件などの撮影情報をバッチ処理にて記録システムに入力する。各患者・検査ごとに1つのデータベースとして保管するシステムを構築した。【結果・結論】各検査ごとの患者被曝線量、注入条件の記録は、重要である。今後これらのデータを臨床に有効に活用できるように検討してゆきたい。また、患者被曝線量については、装置の持つ面積線量計を使用しているため、線量をどう取り扱って行くか検討したい。
放射線管理
069
反射型フィルムを用いたIVR時の患者皮膚線量の測定
-特性評価から臨床使用まで-
線量測定・評価
宮ア 仁志 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】被ばく線量測定用の低感度反射型フィルムの基本特性およびIVR時の患者皮膚面での被ばく線量を測定した。【方法】フィルムの基本特性として、X線照射後のフィルム濃度の経時的変化、線質特性、線量率特性、方向特性を測定した。さらに、IVR時に患者背側にフィルムを配置し線量測定を行い、検査ごとに線量分布と最大線量およびその位置を測定した。【結果・結論】X線照射後のフィルム濃度は時間が経つにつれ、わずかに上昇する傾向がある為、濃度測定は照射後の一定の時間で行うことが必要である。また、線質・線量率に大きな依存性はない。方向依存性はフィルム面に対し平行にX線を入射した場合に感度が低下する。臨床においては線量分布と最大線量およびその位置が同定可能で非常に有用であった。今回のフィルム法は照射される全領域、全線量が把握できるため、特に多方向から照射される心臓カテーテル検査などにおいて有用である。
放射線管理
070
放射線・可視光同時撮像ピンホールカメラによるIVR中の人体内線量分布の推定
線量測定・評価
中村 貴 宮崎大学医学部附属病院 放射線部
【目的】今回我々は、散乱線を直接撮影することができる放射線・可視光同時撮像ピンホールカメラを開発し、人体ファントム断面からの散乱線を離れた位置からイメージングプレート(I.P.)に撮像することにより、透視中のファントム内部のX線分布の推定をし、人体内部の線量分布の評価を行った。【方法】アクリル製円筒で作製した水柱をX線透視装置の照射野内に置き、水柱から横方向に散乱したX線をピンホールカメラで撮像し、得られたI.P.画像よりPSL(Photo Stimulated Luminescence:輝尽発光量)値を得た。また、電離箱と水等価ファントムを用い深さ方向のX線強度を測定し、PSL値と比較した。さらに人体ファントム断面をピンホールカメラで撮像しファントム内の線量分布の評価を行った。【結果・結論】透視中の水柱ファントムを撮像したI.P.画像を分析した結果、PSL値の濃度曲線が得られた。この曲線は電離箱による測定値と高い相関を示しファントム中のX線の分布を表すと考えられた。この結果を基に人体ファントム断面のI.P.による撮像データより目的とする部位の線量が得られた。
放射線管理
071
当院におけるガラス線量計での線量推定と被ばく線量推定ソフトPCXMC
線量測定・評価
小沢 芳博 福岡大学病院 放射線部
【目的】エックス線検査における被ばく線量推定法には、ガラス素子等の測定器を用いる方法やモンテカルロシミュレーションを用いた論理計算によって求める方法がある。今回、ガラス線量計で当院における人体ファントムの線量測定に基づいた胸部正面撮影の線量推定を行った。また、モンテカルロ法を用いた市販ソフトPCXMC(PC program for X-ray Monte Carlo) を使用する機会を得たので被ばく線量を推定した。【方法】人体ファントムの線量測定に基づいた胸部正面撮影での臓器・組織線量をガラス線量計にて推定する。PCXMCにてガラス線量計にて測定した撮影条件や幾何学的な配置等を入力し被ばく線量を推定する。【結果・結論】 詳細については当日報告する。
放射線管理
072
マンモ用校正定数の必要性 第1報
線量測定・評価
橘 昌幸 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】線量測定する場合には、線量計・電位計の組合せによる校正定数が必須である。校正定数は、産総研から供給され、2次校正機関などを経て、トレーサビリティが取られる。しかし、産総研からはMoターゲットによる校正定数の供給はないため、マンモグラフィ−の線量測定では、Wターゲットにより得られた校正定数が使用されているのが現状である。そこで、MoとWターゲットによる校正定数の比較を行ったので報告する。【方法】WターゲットのX線装置のAlフィルタ厚さを調整することにより、MoターゲットMoフィルタのX線装置とQI(線質指標)がほぼ同じになるような測定場を作り、6種類の線量計・電位計の組合せについて校正定数を求め比較した。【結果・まとめ】ターゲット材質により校正定数に差があった。マンモグラフィ−の線量測定精度を向上させるためにも、産総研によるMoターゲットによる校正定数の早期供給が望まれる。
放射線管理
073
マンモ用校正定数の必要性 第2報
線量測定・評価
松尾 千尋 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】第1報より、MoターゲットMoフィルタの組合せのX線装置とWターゲットAlフィルタの組合せのX線装置では、QIがほぼ同じでも校正定数に差があることを報告した。臨床では、MoターゲットMoフィルタ以外の組合せでも撮影が行われており、第2報では、その他のターゲット−フィルタの組合せについて検討を加えたので報告する。【方法】WターゲットのX線装置のAlフィルタ厚さを調整することにより、MoターゲットMoフィルタ、 MoターゲットRhフィルタ、 WターゲットRhフィルタのX線装置とQI(線質指標)がほぼ同じになるような測定場を作り、6種類の線量計・電位計の組合せについて校正定数を求め比較した。【結果・まとめ】ターゲット−フィルタの材質により校正定数に差があった。マンモグラフィ−の線量測定精度を向上させるためにも、産総研による現状にあった校正定数の早期供給が望まれる。
放射線管理
074
外科的手技を伴う非血管性IVR検査での術者の手の被ばく
放射線防護・その他
中野 努 産業医科大学病院 放射線部
【目的】外科的手技を伴う非血管性IVR検査(神経ブロック、PTCD、ポート移植他)や透視下での生検などでは穿刺等の際、術者の手は必然的に照射野内に入り、被ばくを受ける。Over-couch tube方式の透視装置では患者に入射する前の一次X線によって術者は手に大きな被ばくを受ける。一方、Under-couch tube方式の透視装置では一次X線は患者の体によって減弱され、被ばくを少なくできる。【方法】Over-couch tube式方とUnder-couch tube方式での透視による術者の手の被ばくを比較するため、Cアーム透視装置を用いて両方式での被ばく線量を測定した。【結果・結論】15cm以上の被写体厚では、前者の方式で検査することで、後者の1/20以下に手の被ばくを減少させられることが分かった。
放射線管理
075
X線防護衣の臨床現場における遮蔽効果の検討
放射線防護・その他
出水 健教 国立病院機構 鹿児島医療センター 放射線科
目的 臨床現場におけるX線防護衣の遮蔽効果を把握することは、職業被ばく管理の観点から重要である。そこで、3種類(含鉛、多元素、無鉛)の防護効果とX線防護衣透過後の線質の変化について検討を行った。方法 IVR基準点にアクリルファントムを置き管電圧60,80,100,120kV管電流3.0mA一定で、発生する散乱線を電離箱サーベイメータで遮蔽率を測定し、X線防護衣の透過後の線質及び透過線量を半導体スペクトルアナライザで測定した。結果 遮蔽率の測定値では含鉛、多元素共に89~99%と同等の結果を示したが無鉛は83~94%と低い値を示した。線質の測定では防護衣透過後のスペクトルはほぼ同型であったが、多元素は含鉛より透過した光子数が少なかった。無鉛は違うスペクトルを示し20~30keVの透過光子数が多く30~80keVの透過光子数が少なかった。また、透過線量では多元素が一番低い数値を示した。結論 総合的に評価すると、3種類の防護衣の中では多元素の遮蔽効果が優れていると考える。
放射線管理
076
X線防護衣の品質管理
放射線防護・その他
野村 尚史 国立病院機構 鹿児島医療センター 放射線科
【目的】当施設で使用しているX線防護衣41枚について、破損の状況を点検検査し、管理台帳を作成した。また、透視検査より亀裂の見つかったX線防護衣4枚に対し、防護効果に変化がないか検証を行なったので報告する。【方法】1)全てのX線防護衣を目視による点検と透視装置による透視点検を行なう。2)亀裂部分の防護効果を電離箱サーベイメーターにて測定する。【結果・結論】防護衣全41枚中全く破損のないものは18枚44%、外装の擦れキズ有りは18枚44%であった。また、透視点検で破損の異常が認められたものは5枚12%であった。透視で破損が認められたのは、全て心カテ室での使用のものであった。亀裂部の防護効果は、亀裂の少ないものでは変わらず、亀裂の大きいもので15%ほど減少した。管理台帳を作成し透視を使用しての定期的な点検が重要であることが確認できた。
放射線管理
077
地層と放射線量の関係について
放射線防護・その他
梅ア 典良 第一薬科大学 放射薬品学教室
【目的】福岡市営地下鉄3号線の放射線量から地層と放射線量の関係を検討した。【方法】福岡市営地下鉄3号線の放射線量を「はかるくん」を用いて測定した。測定所要時間中に走行した距離から地層を、地層断面図および運行ダイヤグラムを使って、推定し、地層と放射線量の関係を求めた。【結果・結論】花崗岩層の放射線量は高く、粘土層は低い値を示した。地下鉄路線の放射線量測定から地層の推定が可能であることが示唆された。
乳房検査
078
長崎県におけるマンモグラフィの実態調査〜撮影環境と品質管理の実態〜
調査
鬼塚 千里 医療法人栄和会 泉川病院 画像診断部
【目的】今回我々は、長崎県におけるマンモグラフィの現状把握を目的に調査を行った。今回は、撮影環境と品質管理の実態について報告する。【方法】2005年10月現在で、長崎県でマンモグラフィを実施している施設56施設のうち、35施設を対象とした。施設、撮影環境、品質管理、受診者とのコミュニケーションについてのアンケート調査を行った。【結果・結論】使用基準を満たす装置 : 97%受光系 : アナログ 16% , デジタル 84%日常管理の実施 : アナログ 約90% , デジタル 約60%定期管理の実施 : アナログ 約50% , デジタル 約30%長崎県ではデジタルマンモグラフィ施設が多いのが特徴としてあげられる。今回の結果から、品質管理が十分に行われていないなど、マンモグラフィへの意識の低い施設が見受けられた。特にデジタルマンモグラフィ施設に多かった。今後は、施設に対して問題点を指摘し、改善点を具体的に示すことによって全体的なレベルアップを図り、長崎県におけるマンモグラフィの質的向上を目指していきたい。
乳房検査
079
熊本県内乳房撮影実態調査 −第1報− ハード面からみて
調査
川本 和弘 国立病院機構 熊本医療センター 放射線科
【目的】平成15年に熊本乳房画像ねっとわーく(技師主催による研究会)を発足し、これまで半年に1回のペースで7回の勉強会を開催してきた。参加者の動向などより意識向上が覗え、発足以来2度目の乳房撮影実態調査を行った。今回、熊本県内乳房撮影における現状の把握と今後の課題を検討したので報告する。【方法】県内乳房撮影実施施設にアンケート調査を行い、平成15年の調査と比較分析し、今後の課題を検討する。【結果】今回のアンケート回収率は、74.6%であった。乳房撮影実施施設数39施設は、44施設に増加し、認定施設数は、1施設から5施設に増加した。認定技師数は、1名から65名に増加したものの、技師1人あたりの検診対象女性数は現実的ではない。日常的品質管理を行っている施設は50%であり、定期的品質管理全項目においては、40%以下の実施率であった。また、施設の測定機器保有率がかなり低かった。【結論】乳房撮影実施施設数、認定施設数、認定技師数は増加したが、全国的に見て人口あたりの認定施設数、認定技師数は不足している。品質管理において不十分な点が目立ち、今後の研究会としての課題が見えてきた。
乳房検査
080
熊本県内乳房撮影実態調査報告 −第2報− ソフト面からみて
調査
長岡 里江子 国立病院機構 熊本医療センター
【目的】平成15年に熊本乳房画像ねっとわーくを発足し、これまで半年に1回のペースで勉強会を開催してきた。参加者の動向などより意識向上が覗え、発足以来2度目の実態調査を行った。現在の熊本県内乳房撮影における現状の把握と今後の課題を検討する。【方法】県内乳房撮影実施施設にアンケート調査を行い、平成15年の調査と比較し、今後の課題を検討する。【アンケート内容】施設について、カンファレンス実施状況、検査時の更衣等【結果・結論】 今回、44施設(74.6%)から回答が得られた。精密及び検診施設、精密機関の施設は52.3%であり、精中委認定施設は11.4%、施設あたりの認定技師数は1.48人であった。精密機関にも関わらず、追加撮影、カンファレンスの実施率が低かった。検査時の更衣は上半身裸の施設が25%あり、検査説明パンフレットの所有率は38.6%であった。 第1報の報告より、平成15年調査と比べ、装置の充実は図れているようだが、ソフト面ではまだ改善しなければならない部分が多々ある。検査を受ける方が安心して受診できる環境作りも技師の大切な仕事であると考え、今後、この課題についても研究会に取り入れ情報交換の場となるよう取り組んでいきたい。
乳房検査
081
マンモグラフィー受診者の認識について 〜アンケートの結果から〜
調査
室屋 英人 鹿児島大学医学部・歯学部付属病院 放射線部
マンモグラフィー受診者の認識について 〜アンケートの結果から〜【目的・方法】患者様の検査に関する認識状況を把握し改善を図る為,検査後の待ち時間を利用しアンケート調査を実施した。【結果・考察】患者様が望む技師としては 「説明が丁寧」66%、「検査が上手」61%、「質問しやすい」50%、「愛想がいい」25%、検査の内容だけでなく担当技師に対しても要望が強いことが解った。検査に際し「安心して検査を受けられた」患者様は全体の64%、30代は「説明が解りやすかった」23%と羞恥心から緊張のためかあまり理解できていないと考えられる、充分なコミュニケーションをとることが重要となってくる。40代〜50代にかけて「撮影が上手なら男女どちらでもよい」に意向する傾向がみられ、検査の必要性を理解して望んでいることが考えられる。【結語】検査に対する不安や緊張を取り除く為にリラックスしていただけるような撮影室の環境づくり,コミュニケーションに重点を置き技師のレベルを高める。
乳房検査
082
ディジタルマンモグラフィーにおける、プレ照射を用いた粒状性と信号検出能の改善
管理
川路 康之 国立病院機構 長崎医療センター 診療放射線部
【目的】近年、増感紙−フィルム(S/F)システムが主流であったマンモグラフィーにおいても、ディジタルシステムを導入する施設が増加している。ディジタルマンモシステムは、線量を増加させることでノイズが低減され、マンモグラフィーの生命線である微細信号の検出能が向上することは、すでに知られている。しかし、検出能を向上するために線量を増加させることは、被ばく線量も増加することを意味する。 今回、我々はプレ照射を用いることで、線量を増加せずに粒状性と信号検出能が向上するのか、検討を行ったので報告する。【使用機器ならびに方法】今回、実験に使用したディジタルマンモシステムはCRで、マンモ用に開発された5000MA-plusである。イメージングプレート(IP)はHR-BD、読取りサイズは50μmである。まず、S/Fシステムで、RMI156ファントムを撮影し、写真濃度1.5となる線量を基準線量とした。次に、今回用いたCRシステムのIPに対して均一にプレ照射を行った。プレ照射は、基準線量に対して0.5%、1%、2%、5%になるように行った。プレ照射後のIPを用いて、RMI156ファントムを基準線量で撮影し、読み取り条件を臨床と同様にて、観察資料を作成した。また、RMI156ファントムを撮影した後にIPに照射するポスト照射についても同様に観察資料を作成した。5名の放射線技師で、プレ・ポスト照射“あり”と“なし”で乳房撮影制度管理マニュアルに準じた観察を行い、比較検討を行った。【結果】プレ照射を行ったIPの方が、RMI156の検出能(点数)は向上した。ポスト照射の結果および詳細は会場にて報告する。
乳房検査
083
デジタルマンモグラフィーの品質管理
管理
島崎 佳世 聖マリア病院 画像診断部
【目的】デジタル装置・画像の精度管理の経験および問題点について報告する。【方法】日常点検は精中委の出しているDRの点検項目に従い点検を行った。FPDのデジタル感度はファントーム撮影時の平均乳腺線量で評価した。Viewerはファントーム画像評価とキャリブレーションで管理した。【結果】画像評価は、精中委の規定する評価内に収まり変動もみられなかった。平均乳腺線量の平均値は1.34、変動係数は0.05であった。Viewerでの画像評価にも変動はみられなかった。【まとめ】現時点ではFPDは平均乳腺線量の変化を見ることで、Viewerは画像評価とキャリブレーションを行うことでデジタル装置・画像は充分管理していけると考えている。しかし、平均乳腺線量は装置に表示されるものを使用していること、Viewerは操作、視覚に個人差が出る可能性があるため、特定の者が行うか操作法に慣れることが必要であることなどが今後の検討課題である。
乳房検査
084
当院MMGにおける画質に影響を及ぼす因子のレトロスペクティブな検討
撮影
大曲 香織 福岡大学病院 放射線部
【目的】当院ではMMGの画質維持のため、マンモグラフィガイドラインを参考に、平成10年よりMMGのQCを行っている。 しかしながら、QC項目上で問題のない状態においても、臨床においては画質の変化を経験することがある。 今回、当院にて4回以上経過観察を行った患者15例30乳房画像を用いて、レトロスペクティブに当時の撮影条件・自動現像機の管理状態などのデータを収集し、画質に影響を及ぼす因子の検討を行ったので報告する。【方法】撮影フィルム(ロット番号)、撮影条件、ポジショニング、撮影者、自動現像機の管理データ、撮影装置の管理データなどより、乳腺内濃度・コントラストへ悪影響を及ぼす因子の検討を行った。【結果・結論】詳細については当日発表する。
乳房検査
085
マンモグラフィの精度向上への取り組み
第一報 MLO撮影におけるAEC設定位置について
撮影
今村 憲司 三菱化学病院 放射線科
【目的】マンモグラフィ(以下:MMG)において精度の高い画像を得ることは重要である。今回、乳腺分布位置を客観的に表現するブレストマップ(以下:B−map)を考案し、MLOにおけるAECの設定位置について検討した。【方法】 1.B−mapは乳腺構造を考慮し、乳頭を中心に扇状1cm、10度ごとで区域し作成した。2.臨床画像100例より乳腺分布の多い位置を求め、AEC設定位置を決定した。【結果・結論】 乳頭を基準とし、フィルム端に垂直な線を0度としたとき、胸壁側2〜4cm、角度10度〜50度頭側に80%以上の人で乳腺が分布していた。当院のAEC設定位置として、胸壁側3cm、角度を35度頭側に固定した。B−mapにより、全ての人を同じ指標で表せ、乳腺の位置、分布を客観的に把握することができた。臨床において、B−mapから求めた位置にAECを設定することによる効果については第二報にて報告する。
乳房検査
086
マンモグラフィの精度向上への取り組み
第二報 AEC設定位置固定の効果について
撮影
原田 昌彦 三菱化学病院
【目的】乳腺は外観から確認できないため、AECの設定は技師の経験によりされることが多いが、B−mapを作成することで乳腺の分布位置を客観的に把握することができた。第二法では、第一報で求めた位置にAECを固定したときの効果について検討した。【方法】1.固定前、固定後それぞれ100例の乳腺濃度のばらつきを比較した。2.被検者側因子(年齢・乳房の構成)、撮影者側因子(経験年数・精中委認定の有無)との効果の関係について検討した。【結果・結論】AECを固定することで、乳腺濃度のばらつきが小さくなった。特に、撮影者側因子として、認定のない技師や経験年数の短い技師において効果が大きかった。AECを固定することで、安定した画質が得られ、撮影者による技術のばらつきも小さくなり、MMGの精度向上につながった。今後はポジショニング技術の向上にも努め、さらなる精度向上へ取り組んでいきたい。
乳房検査
087
博愛会における2005年度福岡市マンモグラフィ併用乳がん検診の分析
臨床
原田 麻由 医療法人財団博愛会人間ドックセンターウェルネス 放射線科
【目的】福岡市では2005年4月よりマンモグラフィ併用(MMG)乳がん検診が開始となった。博愛会(人間ドックセンターウェルネス・博愛会病院)での初年度の成績を分析した。【方法】受診者は1896名(病院50名・ウェルネス1846名),発見乳がん6名(0.33%)であった。さらに、年代別受診者数、乳房の構成、要精査率等を検討した。【結果・結論】年代別受診者と発見癌は40歳代:1/676名(0.15%)、50歳代:3/666名(0.45%)、60歳代:1/436名(0.23%)、70歳以上:1/118名(0.85%)であった。乳房の構成は高濃度:2%、不均一高濃度:31%、乳腺散在:58%、脂肪性:9%であった。要精査率は7.6%。視触診のみでの発見癌はなかった。乳がん発見率は全国平均以上であった。
乳房検査
088
追加撮影の判断基準の検討-密着スポット撮影について-
臨床
高尾 友子 国立病院機構九州がんセンター 画像診断部
【目的】当院では、乳房撮影の追加撮影を撮影技師の判断で行っている。今回、その判断が適当であるか、密着スポット撮影について検討を行った。【方法】2006年1月〜3月までに撮影を行った症例を対象に、密着スポット撮影無しと有りの読影結果の比較検討を行った。また、追加撮影を行わなかった症例については、密着スポット撮影の必要性の検討を行った。【結果・結論】密着スポット撮影によりカテゴリー分類が変った症例は71症例中9症例あり、病変の見え方のみ変ったものが4症例あった。また、マンモグラフィ読影医師が読影において追加撮影を必要と感じた症例は、追加撮影を行った症例では約66.2%、行わなかった症例では約5.4%であった。追加撮影を行った症例中、カテゴリー分類上は追加撮影が不要であっても、診断、治療において追加撮影を必要とする場合も考えられる。今後、乳腺科の医師とも話し合いながら追加撮影の基準を考えて行きたい。
乳房検査
089
乳房温存術におけるマンモグラフィの有用性
臨床
岩崎 友美 医療法人源勇会 枝國医院
【目的】マンモグラフィを利用した術前マーキングや術中標本撮影を実施することで、非触知乳癌に対する乳房温存術の精度を向上する。【方法】まずエコー下で病変部の大体の位置を把握し、マーキングを行う。次にその範囲確認のため断端にX線非透過性のマーカーを入れ、マンモグラフィを撮影する。写真を確認しながら病変部が正確に切除範囲に含まれるように微調整を行い、範囲を最終確定する。そして、実際に切除された標本をマンモグラフィで撮影し、残存病変の有無をチェックする。【結果・結論】マーキングに使用するマーカーや撮影方向の検討を行った結果、マンモグラフィを利用したマーキングの精度は向上している。また、標本撮影は残存病変の有無をすぐにチェックできるので、術中迅速細胞診と同様の役割も果たす。このように乳房温存術を施行する際にマンモグラフィを利用することは、切除範囲を最小限にとどめ、なお、その断端のチェックも可能とするため大変有用である。
乳房検査
090
Accessデータベースを使用したマンモグラフィー品質管理システムの構築
臨床
宮崎 綾 社会保険 小倉記念病院 放射線技師部
【目的】マンモグラフィーにおいて、その品質管理や撮影技術は必要不可欠である。そこでマンモグラフィーの品質向上、技術向上を目的としたシステムを作成したので報告する。【方法】データベースソフトAccess2000(マイクロソフト社製)を使用してシステムを作成した。患者情報、撮影時情報の取り込み、また読影結果、ポジショニング採点結果、精度管理データの入力を行い、データの分析、検討を行った。【結果・結論】読影においては、技師・医師それぞれの読影結果の統計により、医師との相違点を認識でき、フィードバックすることが可能となった。ポジショニングにおいても各技師の傾向を分析することができ、それにより技術の向上を図っている。また撮影時に前回データがあることでスムーズな撮影が行えるようになった。さらに精度管理に関しても、前年度との比較や分析により画質の維持・向上を図ることができる。
治療
091
タングステンシートを用いたリニアックグラフィーの検討 第一報 物理的評価
照合
笠 紀美子 国立病院機構 九州がんセンター 放射線治療部
【目的】当院では、照射位置照合写真用カセッテのMP(metallic plate)にヘビイメタルシート(HMS)を用いている。今回、新たにタングステンシート(WS)が発売され臨床での適用を考えHMSとの比較のため物理的評価を行い検討した。【方法】次の項目について比較検討を行う。・散乱線除去板としての性能測定と比較(比較対象:WS、HMSのカセッテシステム)・散乱線含有率の測定と比較(比較対象:WS、HMS、MPなしのカセッテシステム)【結果・結論】散乱線除去板としての性能測定の結果、コントラスト改善度(K)、選択度(Σ)、露出倍数(B)の大きい順はすべて、WS、HMSであった。また、散乱線含有率の測定結果は,測定値の小さい順にWS、HMS、MPなしであった。今回の測定及び比較検討の結果、WSのカセッテシステムの方が高い評価となった。
治療
092
タングステンシートを用いたリニアックグラフィーの検討 第二報
照合
寺崎 浩一 国立病院機構 九州がんセンター 放射線治療部
タングステンシートを用いたリニアックグラフィーの検討(第二報)【目的】第一報において照射位置照合写真用のカセッテに用いるメタルプレート(MP)の散乱線除去能の比較を行った結果、ヘビーメタルシート(HMS)に比較してタングステンシート(WS)の散乱線除去能が高かった。そこで、臨床での使用を考えWSを用いたリニアックグラフィー(LG)の画質評価を行った。【方法】比較対象としてWS、HMS 、MPなしの3つのカセッテシステムを用い、以下の項目について比較する。視覚評価にはFNC処理を行った画像を用いた。1、解像力の比較 2、バーガーファントムによる識別能の比較 3、CNR計測 4、人体ファントムを用いた視覚評価 【結果・結語】全ての項目についてWS、HMS 、MPなしの順に評価が高くなった。ただし、人体ファントムを用いた視覚評価においてWSとHMSに有意な差は認められなかった。よって臨床での使用には重量、加工のしやすさなども考慮して選択すべきと考える。
治療
093
ポータルイメージの画質改善
照合
平野 奈緒美 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】当院では大半がEPID(Electric Portal Imaging Device)とDRR(Digital Reconstruction Radiography)との照合で確認が行われている。しかし画像コントラストがなく、照合しにくい場合がある。そこで、金属板を付加することにより、コントラストが改善できないか検討した。【方法】銅、鉛、含鉛ゴムをそれぞれ焦点側(シャドウトレイ)に付加した場合とEPID上に直接付加した場合に分けてバーガーファントムを撮影した。【結果・結論】視覚評価では目立った違いはないが、コントラスト比を比較すると銅板を焦点側に置いて撮影した場合が他の場合より大きくなった。よって、付加フィルタを使用することによりEPIDのコントラストを改善することができた。
治療
094
EPIDシネ画像を用いた肺定位放射線治療におけるターゲット位置のずれ量の推定方法
照合
吉留 郷志 九州大学病院 医療技術部
【目的】本研究目的は、定位放射線治療におけるEPIDのシネ画像に基づいて、ターゲット位置のずれ量の推定方法を開発することである。【方法】提案手法では1枚目のシネ画像とそれに続くシネ画像とのテンプレートマッチングに基づいてターゲット位置のずれ量を求めた。開発した手法を6または10MVの直線加速装置とEPIDを用いて撮影した5人の非小細胞性肺癌患者のEPIDシネ画像に適応した。最後に、開発した手法を使って求めたずれ量と2人の放射線腫瘍医の視覚的評価によるずれ量との比較を行なった。【結果・結論】提案手法を使って求めたターゲットのずれ量は2.4〜4.5mmだった。また、提案手法によるずれ量と放射線腫瘍医によるずれ量との相関値は0.7以上であった。結果として、提案手法は肺定位放射線治療において、ターゲット位置のずれ量を推定するために役に立つ可能性があることが示された。
治療
095
放射線治療用CTにおけるCT値の検証
精度管理
築城 聖二 国立病院機構 九州がんセンター
【目的】放射線治療計画においてCT値を電子密度に変換することによって線量分布曲線を作成している。実際これらCTを使って計画用CT画像を撮像するのであるが、CT検出器の多列化が進むなか、撮影条件も複雑化し、様々な条件の組み合わせのCT撮像が可能となった。そこで検出器の数が異なる4種類のCTを用いて、計画用CTにおける電子密度の基となるCT値を検証してみた.【方法】1)CT装置の寝台に13種類の物質を用いているGammex社製組織特性ファントム(直径33cmX5cm)を固定撮影する。2)ヘリカル撮影条件は日常診療において用いる腹部撮影条件にて行った。(ただし管電圧、FOV、フィルター関数は固定)3)1、4、16、64列のCTについて撮影・解析をおこなった。【結果・結論】検出器の多列化によるCT値の優位な変動は認められなかった。よって治療用CTにおけるMDCTの活用は問題ないといえる。
治療
096
放射線治療計画用CT撮影時のスキャン位置の正確性
精度管理
井上 嘉代子 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】放射線治療計画用CTでは体表面にマ−カ−を貼付して撮影が行われ、マーカー位置を基準とした治療計画が行われる。したがって、マーカーの位置は正確であることが望ましい。特に、高い位置精度を要求される定位放射線治療では問題となる。そこでスキャン位置の正確性について検討した.【方法】スキャン位置の正確性を求める為,スキャンフィ−ルド中心及び上方5,10,15,20pに1.5o微小球体を配置し,スキャンスライス厚1o×4列,ピッチ0.375,0.625,0.875,1.25にてスキャンを行った.得られた生デ−タからリコンスライス厚2o再構成スライス厚0.1mm間隔で再構成を行い、SSPzを求め、スキャン位置の正確性を検討した.【結果・結論】スキャンフィ−ルドの中心から離れるに従い、スキャン位置のばらつきが大きくなり,正確性が悪くなった。またピッチが大きくなるほど悪くなった。スキャン位置の正確性がより求められる定位放射線治療の治療計画用CTではピッチが小さいほうが良い.
治療
097
DRR画像構築におけるマルチスライスCTの至適スキャン条件の検討
精度管理
辻田 直子 九州大学病院 医療技術部
【目的】
外部放射線治療における照射野の照合は,DRRを用いて行われている.標的設定の精度も向上し,計画された照射野の照合が以前にも増して重要となっている.そこで,DRR画像構築におけるマルチスライスCTスキャンの至適条件を検討した.【方法】 画像スライス厚と再構成間隔は,体軸方向の分解能に影響し,DRRの解像度に影響する.本来スキャン面方向で使用するCT用のチャートを体軸方向に設置し,各画像スライス厚と再構成間隔のDRRのMTFを求めた.さらに,臨床画像の視覚評価を加えた.【結果・結論】 画像スライス厚が薄いほど,また,同一スライス厚において,再構成間隔を細かくするほどMTFが向上した. マルチスライスCTにおいてスライス厚は,3〜5mm程度を使用するのが良いと考える.画像枚数の増加によるRTPSでの処理負担のため,画像間隔は,スライス厚と同じか場合によっては細かくするのが良く,至適条件として評価できると考える.
治療
098
低密度不均質部を含む治療計画のMU値の検証
精度管理
安井 修己 産業医科大学病院 放射線部
【目的】照射野内に不均質部を含むMU値の実測検証は、不均質補正後の深さで水や固体ファントムを使用した場合、線量誤差が生じると思われる。今回我々は、不均質ファントムを固体ファントムで挟んでCT撮影しRTPで算出されたMU値の水、固体そして実際に撮影したファントムを使用し実測検証を行ったので報告する。【方法】低密度不均質ファントムをSOLID WATERで挟んでCT撮影をし、RTPで照射野サイズ5X5、10X10、15X15、20X20cm2の1門照射を設定する。投与線量は、4、6、10MVX線でファントム中心(深さ10cm)に100cGyとした。それぞれ計算されたMU値において、水、SOLID WATER、CT撮影に使用したファントムで実測を行い、線量を比較検討した。【結果・結論】水、SOLID WATERファントムは、不均質補正後の深さ6.3cmで実測した結果、各エネルギーとも3%前後過線量であったが、撮影に使用したファントムでは1%以内であった。
治療
099
放射線治療用吸引式固定具の有用性
固定・照射法他
川崎 年久 長崎医療センター 放射線科
【目的】高精度の放射線治療を行うには、患者の体位固定が重要な要素の一つである。今回、体幹部固定具である吸引式固定具(MED-TEC社製Vac-Lok)の有用性を検討したので報告する。【方法】@治療計画および線量分布への影響を考慮し、固定具の使用によるCT画像へのアーチファクトの発生、固定具のCT値を測定した。A固定具の使用による皮膚線量の増加を考慮し、電離箱線量計による測定およびイメージングプレートによるピクセル値の測定を行った。B固定具の使用による再現性、体位安定性の評価を行った。【結果・結論】固定具の使用により皮膚線量の増加が認められた。しかし深部の線量分布はほとんど変化が認められず、また体位の安定性は向上した。固定具の活用方法や照射法に応じた種類の選択を行った上での使用において有用性が認められた。
治療
100
原体照射にnon−coplanar照射を併用させた放射線治療の有用性
固定・照射法他
西元 孝海 鹿児島大学病院 放射線部門
【目的】照射野形状を、ターゲット形状に一致させる照射法として原体照射法があるが、今回non−coplanar照射との併用により、周囲のrisk臓器の線量を増加させることなく局所線量を増加させることができると考え、この照射方法の検証と有用性について検討をした.【方法】MixDpファントムを用いてCTS-20で撮像し、治療計画装置(RTP700S)で線量分布図を作成した。線量は、ファントムとJART型線量計を挿入し実測を行なった。また、線量分布はフィルム法により等線量曲線を得て、治療計画装置の検証を行ない臨床に応用した。【結果・結論】IMRT装置のない病院でも,non−coplanar照射法を併用することでdose escalationを可能とした。MixDpファントムを用いて放射線治療装置との検討を行えた。原体照射のみの治療より、セットアップに時間がかかり、ガントリーと寝台の干渉に注意しなければならないというデメリットもあるが、有用な照射法であると考えられた。
治療
101
高線量率小線源の出力測定
固定・照射法他
大浦 弘樹 国立病院機構 九州がんセンター 放射線治療部
【目的】九州がんセンターでは、年間約50名新患に対して192Ir高線量率リモートアフタローディングシステムによる治療を行っている。192Ir線源交換は3ヶ月ごとに行うことが推奨されており、その際、線源出力測定、線源停留位置確認を行う必要がある。密封小線源における線源出力測定には、逆サンドイッチ法とウェル型電離箱を用いた線源出力測定法がある。今回、逆サンドイッチ法とウェル型電離箱を用いた線源出力測定法による精度について検討を行った。【方法】1.オートラジオグラフによる線源移送距離の測定2.ウェル型電離箱線量計と逆サンドイッチ法における出力測定と比較【結果・結論】線源停留位置での許容誤差は1mmであり、今回の測定結果は許容範囲内であった。逆サンドイッチ法とウェル型電離箱を用いた線源出力測定法の測定誤差は3%以内であった。ウェル型電離箱を用いた測定方法を当院は標準測定とし、同一手順による測定により測定者による変動を最小限に抑える事が可能となる。
治療
102
当院における放射線治療の安全管理体制の確立について
固定・照射法他
大倉 順 久留米大学病院 放射線治療センター
【目的】放射線治療関連学会・団体により組織された放射線治療の品質管理に関する委員会の提言を受けて、当院における品質管理を確立させるための活動を報告する。【方法】本年4月より外部の放射線治療品質管理士を非常勤で任用し、月に一度、当院の技師と共同で品質管理を行っている。また、品質保証の一環として、放射線治療施設・設備の品質保証に関する訪問調査による品質評価(訪問調査)を受けた。【結果・結論】品質管理において、外部からの意見を聞くことは非常に有用である。訪問調査における調査班が持ち込んだ線量計の測定値と、当院のX線出力(4MV 6MV 10MV)との比較は、最大で1.9%の差異であった。訪問調査の詳細と月に一度の品質管理の内容は、当日会場にて報告する。
CT
103
64列MDCTを用いた肺動静脈分離撮影プロトコールの検討
臨床技術 1
藤原 誠 大分県厚生連 鶴見病院 放射線技術科
【目的】現在MDCTの多列化に伴い安全な血管処理を目的として肺がん術前に肺動静脈分離3D画像作成を行なう施設が増加している。しかしMDCTにて肺動脈(PA)と肺静脈(PV)を区別した画像を得る為には、同一部位を2度撮影するため被ばく量の増加を伴う。そこで64列MDCTを用いて1度の撮影でPAーPVを分離する撮影プロトコールを検討した。【方法】PAでのピークCT値到達時に撮影を開始すればPVはピークCT値に達していないためPAーPV間にCT値の差が生じる。この差を利用し画像を作成する。この為撮影方法はReal Prep法を用い、PA主幹部のCT値が140HUに到達した時点で撮影を開始する。【結果・結論】PAーPV間にCT値差を150HU程度生じることができた。この為1度の撮影で肺動静脈分離3D画像を作成することが可能であった。今回の撮影法によって患者被ばく量CTDIwを約半減することができたため本方式は被ばくの低減に有用である。
CT
104
サブトラクション法による脳血管3D-CTAの基礎的検討
第1報 撮像タイミングと各種パラメータについて
臨床技術 1
汐崎 玲子 天草地域医療センター 放射線部
【目的】当院では脳血管のサブトラクション3D-CTAを行っているが、撮像タイミングが遅いと静脈が描出され、又早過ぎると血管のCT値が低下し、特に頭蓋底部を走行する血管にステアステップアーチファクトが発生する。今回、脳血管サブトラクション3D-CTAの撮像時間とタイミングの最適化を図るとともに、ステアステップアーチファクトの低減を試みたので報告する。【方法】@撮像タイミングはtest injection法にて行い、動脈と静脈の平均到達時間より、最適な撮像時間を求める。A電球の先端を撮像し、ビームピッチと再構成スライス厚による、ヘリカルアーチファクトの発生について検討する。【結果・結論】脳血管のサブトラクション3D-CTAは、単純と造影の2回撮像を行うため、被ばくの増加が問題となるが、各種撮像パラメータの最適化を図ることでステアスッテップアーチファクトを抑えた画像が得られ、診断能の向上に繋がった。
CT
105
サブトラクション法による脳血管3D-CTAの基礎的検討
第2報 単純画像(マスク像)の線量低減とノイズ特性について
臨床技術 1
川原 鉄也 天草地域医療センター 放射線部
【目的】当施設では、サブトラクション法による脳血管3D-CTAを施行しているが、造影画像に加え単純画像(以下マスク像)を撮像するため被ばくが問題となる。今回、マスク像のみ線量低減したサブトラクション3D-CTAについて検討したので報告する。【方法】1.マスク像の線量を変化させ、SD、ウィナースペクトルを求め、また、ヘリカルアーチファクト、ビームハードニング効果について検討する。2.マスク像の線量を変化させ模擬血管ファントムの描出能を評価する。【結果・結論】線量低減に伴い画像ノイズが増加したが、ビームハードニング効果やヘリカルアーチファクトに変化は見られなかった。模擬血管ファントムでは、マスク像の線量低減に伴い描出能が低下した。実際の臨床においては、造影時の1/2の線量までは画質の劣化は問題にならないと考えられ、それ以上の線量低減を行う場合は、画像ノイズを抑える工夫が必要であると考えられた。
CT
106
サブトラクション法による脳血管3D-CTAの基礎的検討
第3報 単純画像(マスク像)の線量低減と再構成関数について
臨床技術 1
川原 鉄也 天草地域医療センター 放射線部
【目的】第2報の結果より線量低減におけるマスク像のノイズ特性が把握できた。今回、マスク像のノイズ低減を図るため、再構成関数について検討したので報告する。【方法】1.水ファントムを用いて各再構成関数のSD、ウィナースペクトルを求める。2.ワイヤーファントムを用いて各再構成関数のMTFを求める。3.模擬血管ファントムを用いて各再構成関数で模擬血管の描出能を評価する。【結果・結論】造影時の1/2以上の線量低減を行うと、模擬血管はマスク像のノイズ増加により描出能は低下したが、マスク像の再構成関数を最適化しノイズ低減することでサブトラクション画像の画質を改善することが出来た。しかし、実際の臨床では、マスク像の微細な骨構造がノイズと共に除去され、サブトラクション画像に骨が残存した。よって、臨床における線量低減を行うには、サブトラクション法による脳血管3D-CTAのための最適な再構成関数の開発が必要だと思われた。
CT
107
MSCT検査においてCPRが有用であった症例報告:第一報〜尿管結石
臨床技術 2
平嶋 寿昭 医療法人共愛会戸畑共立病院 放射線科
【目的】MSCTで得られたデータは最小スライス厚で観察することが理想であるが、画像枚数が膨大なものとなり、読影者にとっては大きな負担である。体軸方向の画像表示方法としてはMPRがあるが、体軸方向に長く屈曲、蛇行して存在する尿管の描出に関してはCPRが有用であるという報告が散見される。 そこで今回、尿管結石が疑われた症例に対しCPRを作成し、臨床的有用性について評価した。【方法】拡張した尿管とそれに連続する尿管結石のCPRを作成した。対象症例は、尿管結石が疑われCT検査を施行した50症例で、7mm厚のフィルミング用の画像とCPRの診断能を比較評価した。【結果・結論】尿管結石の描出に関してCPRの診断能は優れていた。尿管結石が疑われた症例に対して作成したCPRは、臨床的に有用であった。
CT
108
MSCT検査時にCPRが有用であった症例報告:第二報〜炎症性消化管疾患
臨床技術 2
山之内 雅幸 医療法人共愛会 戸畑診療所 放射線科
【目的】 第一報で述べたように、CPRについては尿管や膵管の臨床的有用性に関する報告は見られるが、消化管領域についての報告は少ない。 今回、腹部MSCTが施行された炎症性消化管疾患についてCPRを作成し、臨床的に有用であった症例を報告する。【方法】 炎症性消化管疾患のMSCTにて作成されたCPRについて、臨床的有用性を評価する。【結果・結論】 小腸憩室炎の症例では軸位横断像では確認が難しかった憩室の描出が可能であった。大腸炎の症例では上下に広く分布する腸管の炎症を描出することができた。虫垂炎の症例では軸位横断像では追えなかった腫大した虫垂の連続性を追うことが可能であった。ベーチェット病の症例ではCPRにて出血部位までの距離を計測が可能で術前情報として有用であった。 しかしCPRの作成には、詳細な解剖学的知識および画像処理装置やMSCTに関する知識と技術の習得が必須である。
CT
109
16列CTを用いた頸動脈CT Angiographyにおける撮像方向の検討
臨床技術 2
福田 徹 長崎大学医学部歯学部附属病院
【目的】従来より行われているcaudocranial scanと今回用いた生理食塩水の後押しを用いたcraniocaudal scanにおいて、その造影効果とartifactsの影響について、比較検討した。【方法】東芝製16列CTを用いた頸動脈CT Angiographyにおいて、caudocranial scanとcraniocaudal scanでascending aorta,CCA,ICA,およびSVCのCT値測定をした。また、streak artifactsについて、比較検討した。【結果・結論】craniocaudal scanを行った場合、craniocaudal scanに比べ、若干低いCT値を示したが、その程度については問題とはならなかった。それよりもstreak artifactsの低減効果が大きかった。今後の撮像法の指標になればと思う。
CT
110
造影CT時に散見される鎖骨下静脈周囲の側副血行路についての分析
臨床技術 2
塘田 孝夫 特定医療法人社団至誠会 木村病院 放射線科
【背景】臨床で造影CT検査を実施している際、鎖骨下静脈周囲に無数の側副血行路を目にすることは少なくない。数本のものから広域に多数存在するものもある。この側副血行路は造影CT検査での造影効果に何らかの影響を与えている事は否めない。【目的】肩甲骨周囲から鎖骨下静脈周囲で観察されるイレギュラーな静脈、この側副血行路と考えられる静脈の頻度、左右差、男女差等を分析し把握したので報告する。【方法】2004年6月から2006年8月までの頚部あるいは胸部の造影検査を施行した症例1142件(男性:495件、女性647件)を対象として肩甲骨周囲から鎖骨下静脈周囲で観察されるイレギュラーな静脈を拾い出し分析した。【結果・結論】後外椎骨静脈叢へ至る規模の大きい側副血行路は左右に明らかな有意差を認めた。
CT
111
CT装置におけるトラブル実態調査
機器管理
満園 裕樹 北九州市立八幡病院
【目的】装置トラブルに関する知識をより多く集め皆で共有していけるよう、アンケート調査を行い、その知見を集約・解析した。【方法】北九州CT勉強会・CTゼミの協力を頂いた、13施設15台の先行調査結果に加え、新たに調査範囲を広げて、基本事項(装置名・可動年数・etc)およびトラブルの実態(発生時の状況・初期対応・原因・etc)について統一フォーマットにて調査を行った。【結果・結論】今回報告されたトラブルの中には、ユーザーサイドに知識があれば対応が可能であったと考えられる事項もいくつか存在した。今後はWEBを用いることにより、この様な情報をより多く収集し、ユーザーが早期対応できるシステムの構築を目指したい。
CT
112
「X線CT装置の補正データ収集時期に関する検討」
機器管理
渡邊 亮 北九州総合病院放射線科
【目的】X線CT装置では、収集系感度の経時的な変動を補正し、CT値の安定性・均一性を保つ目的で水及び空気による補正データの収集(キャリブレーション)が行われる。水補正はメーカーが点検時に、空気補正は装置ウォームアップ時に行われるが、各々の補正データ収集時期については明確になっていない。特に装置ウォームアップ時に実施される空気補正は、データテーブルが多い程補正に要する時間が長くなることやX線管の消耗度からも、その必要性については以前から議論されている所である。今回、実際どの程度の間隔で補正を行えば良いのかについて検討を行ったので報告する。【方法】管電圧毎に補正データ収集条件を1)補正なし(80・135kV)、2)空気補正のみ(100kV)、3)水及び空気補正(120kV)として、経時的変化について調査を行った。【結果・結論】補正データ収集状況の違いは顕著に現れ、これより補正データ収集を必要とする時期を把握することができた。本検証により、定期的な管理の必要性を再認識することができたが、装置ウォームアップ時に毎回行っている空気補正については、X線管へ過度に負荷を与えていることが懸念された。
CT
113
X線CTの装置管理について −簡便法への取り組み−
機器管理
古海 誠 産業医科大学病院 放射線部
【目的】X線CTの装置管理については,管理に必要な測定器具を所持していない,多忙な日常業務において管理に費やす時間がない,管理方法が煩雑かつ高度な専門知識が必要などの理由で目視程度の点検しか実施されていないのが現状である。今回,IEC61223-2-6やJIS Z4752-2-6不変性試験の項目にも挙げられている空間分解能評価の簡便法について検討を行ったので報告する。【検討項目】(1)自作ファントムの適合性について、(2)MTF算出におけるフリーソフトの適合性について、(3)装置管理ツールとしての適合性について【まとめ】今回の結果から、自作ファントムやフリーソフト使用したMTF評価は、装置管理において十分に適合することが示唆された。簡便かつ安価で、再現性も良好であったことから簡便な装置管理法として各施設において是非実践して頂きたい。
CT
114
半導体線量計による、CT被曝線量測定について
機器管理
粟元 伸一 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】3つの線量計(ペンシル型電離箱線量計、ガラス線量計、半導体線量計)にてCTの被ばく線量を測定して比較した。【方法】装置は東芝Aquilion64を使用し、電離箱線量計(RAMTEC 1000plus:東洋メディック)、ガラス線量計(DoseAce:旭テクノガラス)、半導体線量計(MOM603:トーレック)については自由空気中でFOV中心に線量計を配置し測定を行った。電離箱線量計、半導体線量計についてはCTDIwの測定も行い、測定値と装置表示の値の差について検討した。【結果・結論】電離箱線量計に比べ、半導体線量計の方が測定線量の過少評価がおきていた。CTの被ばく線量測定には、各線量計の特性を理解する必要がある。半導体線量計は電離箱線量計に比べ簡便に測定を行うことができるが、補正が必要と考える。
X線検査
115
企業のアスベスト肺健診
胸部・上肢
小野 真矢 今村病院放射線科
【目的】今回、石綿加工工場、および石綿製品と関連する作業従事者を対象に(合計4社)行った健診の結果とCT撮影装置による画像診断の有用性についても報告する。【方法】各企業について胸部撮影、CT施行した。一般撮影では下肺野の観察領域の変化を、CTでは被爆線量の低減を試みた。CT精査を行う際はワークステーションにてプラークの定量化を試みた。【結果・結論】石綿を材料としたアスベスト材の製造業では胸膜にプラークを認めた人は極めて多く、明らかな石灰化像をみとめた。大多数の従業員が15〜31年の勤続年数であり、受診者の平均年齢は66歳であり、喫煙者と有所見者の間には関連性は認められなかった。一般撮影では、吸気の合図を録音し、撮影時に使用した。今後の課題としてワークステーション操作者の主観により値が変ってしまうプラークの定量化と、CT精査での被爆線量の低減があげられ、今後も各企業のデータを集めていく必要がある。
X線検査
116
胸部正面撮影における撮影体位の違いでのポジショニングの検討
前後位・後前位での再現性について
胸部・上肢
佐々木 崇 霧島市立医師会医療センター 放射線室
【目的】胸部正面撮影の際,立位が不可能な患者に臥位での前後位撮影を行うが,立位後前位のX線写真との間には通常違いが見られる。今回このX線写真の違いを補正することを考え,胸部正面前後位撮家におけるポジショニングの検討を行った.【方法】1,後前位と前後位でのそれぞれの写真の違いを明確にするため、同一ボランティアにてそれぞれの体位で撮影し検討を行う.2,胸部側面像の胸部前面とカセッテの角度を計測する.3,その検討を元に補正を行うポジショニング・体位で撮影を行い後前位撮影の写真と比較を行う。【結果】それぞれ胸部写真の違いとしては肺尖部(肋骨・鎖骨など)の違いが大きかった。補正法として胸部前面をカセッテとほぼ平行になるようにポジショニングを行うことで、後前位撮影の写真とほぼ同等の像となり再現性が保てる様になったと考える。
X線検査
117
胸部正面撮影における撮影体位の違いによるポジショニングの検討
胸部正面(後前)撮影と坐位撮影
胸部・上肢
福元 健 霧島市立医師会医療センター 放射線室
【目的】胸部撮影時,通常立位で撮影されるが,病態によっては坐位や臥位での撮影となる.当院では,立位での撮影が出来ない際,胸部正面臥位撮影のポジショニング時に頭部側を上げ撮影を行い,立位胸部正面(後前)位のX線写真に近い撮影を行っている.そこで今回,坐位撮影時の際にも同様な撮影を行えないか,検討を行った.【方法】1.胸部正面坐位撮影時に臥位撮影時の用に頭部側を上げ撮影を行い,X線写真の検討.2.坐位撮影の際,ストレッチャ(ベッド)の傾きに合わせてX線束を垂直に入れる為の撮影補助具の検討・作成.3.座位撮影時のポジショニングのズレの補正法の検討【結果・結論】坐位撮影の際,頭部側を上げ,補助具を使用し,ストレッチャ(ベッド)の傾きに合わせてX線束を垂直に入射する.また,臀部の下にスポンジなどを入れることで体位安定になり,カセッテ
から背部(背中)が離れない.これで撮影を行うと立位胸部正面(後前)位撮影のX線写真に近い撮影をすることが出来た.
X線検査
118
肩関節撮影の検討 特に石灰沈着性腱板炎について
胸部・上肢
藤戸 大介 福岡整形外科病院 放射線科
【はじめに】石灰沈着性腱板炎とは、腱板にカルシウム塩が沈着し、急性炎症を生じる結晶誘発性腱炎及び滑液包炎である。【目的】石灰沈着性腱板炎の患者様は非常に強い疼痛のため運動制限がある事から正面撮影、Y-view撮影を基本として回旋撮影を加える程度にとどまる。しかし、明らかな症状があるにもかかわらず、それらの撮影法では病態の描出が出来ない症例もある。これらの症例に対してどの様な撮影が有効か、又なぜ描出できないのかについて考察した。【方法】2症例に対して上肢の可動範囲で挙上し軸位方向から撮影した。【結果】2症例とも上腕骨頭前方部分に石灰沈着性物質を認めた。【考察】石灰沈着性腱板炎の症状でも、実は上腕二頭筋長頭腱部分の石灰化も2%程度存在する。このことも理解し描出できない場合は軸位撮影も視野に入れる事が重要である。この時の肢位は関節裂隙にこだわる必要はなく、可能な限りの挙上で問題ないと考えられる。
X線検査
119
肘関節撮影法についての検討〜特に尺骨神経溝撮影について〜
胸部・上肢
井田 景子 福岡整形外科病院 放射線科
【目的】肘部管症候群骨性評価に有用な肘関節尺骨神経溝の撮影において、当院では高齢者も多く、ポジショニングが難しい場合がある。今回、患者様にとって楽な撮影肢位について検討した。【方法】@従来の方法:坐位にて肘関節を後方に引き、肩関節20°外転、前腕部背面をカセッテにつけ、肘関節45°屈曲位X線垂直入射にて行っている。A今回の検討:肘関節を前方に出し、45°屈曲、20°外旋位にて、尺骨神経溝の方向を考え、前方よりX線入射角度を20°と40°として比較した。正常ボランティア5名10肘を撮影し、視覚的評価を行った。【結果】従来の写真と今回の写真では、画像評価上問題ない事が分かった。【考察】尺骨神経溝の撮影法について検討した。従来の方法と今回の方法では、ほぼ同等の評価を得る事が出来た。従来の方法でも画像上問題ないが、今回検討した方法を一つの選択肢とし、患者様の状態により対応出来ると考える。
X線検査
120
FPDを利用したFalse
Profile View撮影の現状報告
下肢
猿渡 一徳 福岡大学病院 放射線部
【目的】False
Profile撮影は 変形性股関節症に対する股関節臼蓋骨切回転術を施行する際、臼蓋の前方への回転角度、移動距離を決定するための重要な撮影方法である。 しかし、本撮影方法は立位での撮影であるため、患者さんの股関節の状態によって左右される要素が大きく、撮影条件・再現性・生殖腺防護などに苦労していた。本院では昨年FPD撮影装置が導入され、Screen/FilmシステムからFPDシステムへ変更し、工夫を加えることによって撮影条件・再現性・被ばく線量の低減などを向上させることが出来たので、報告する。【方法】@画像評価を行い撮影条件を決定した。Aガラス線量計を用いて組織線量の比較(Film/Screen Vs FPD) を行った。【結果・結論】Film/Screenシステムより大幅な線量低減を行うことができた。詳細については当日発表する。
X線検査
121
大腿骨頚部骨折撮影の検討 特に軸位撮影について
下肢
釘宮 慎次郎 福岡整形外科病院 放射線科
【目的】当院では急性外傷による大腿骨頚部骨折に遭遇する事が多い。前回の九州放射線技師学術大会でも取り上げられていたが当院でも検討を加え患者様の苦痛が少ない撮影法を考えた。【他院での肢位】従来法では下肢が外旋している為、軸位撮影は他動的に内旋を加え撮影するが患者様の苦痛は非常に大きく困難である。そこで外旋角度をCTで計測し、得られた平均角度だけ患側臀部を挙上斜位とし健側下肢を持ち上げて撮影する。【当院での検討】個々の外旋角度にばらつきが有る事から平均値を用いるよりも撮影時に徒手下で膝蓋骨正中位となる様患側臀部を挙上。健側下肢は伸展位で撮影する。【結果】健側下肢が伸展位でも重複陰影になる事はなかった。又。現時点での大腿骨頚部骨折の患者様5名中5名が特に痛みを訴えなかった。画像も従来と変化がなかった。【結語】他院での撮影法を行ったが検討の余地が有り当院で改良を加えて撮影したが良好な結果となった。
X線検査
122
膝蓋骨軸位撮影における一考案
下肢
石井 佳人 JR九州病院 中央放射線室
【目的】当院の膝蓋骨軸位撮影はmerchant変法であり、膝関節屈曲120°、X線は頭尾方向15°で入射し撮影している。今回脛骨軸に着目し、膝蓋骨軸位撮影のポジショニングとX線入射角度について検討を行ったので報告する。【方法】・当院整形外科外来患者の膝蓋骨軸位像の内、再撮影となった50名分50膝を対象に、その原因がポジショニング、X線入射角度のどちらにあるのかを調べた。・膝蓋骨長軸を脛骨軸と平衡にする下肢ポジショニングを試用した。・ポジショニングとX線入射角度を応用し撮影した膝関節軸位像の評価を行った。【結果・結論】再撮影となった症例は膝蓋骨が下方に移動し、当院ルーチン撮影法で対応できなかったものと下肢の内外転により膝蓋骨背面の内側、外側が重複したものに大別された。今回設定したポジショニングにより数十例の撮影を試みたが、現在のところ結果は良好であり、膝蓋骨軸位撮影の再現性向上が確認できた。
X線検査
123
膝の脛骨後傾角の計測
下肢
香月 伸介 福岡整形外科病院 放射線科
【目的】当施設では近年膝の正面の撮影に立位正面、30°屈曲肢位によるローゼンバーグ撮影など立位撮影が追加されることが増えてきた。その目的は加重撮影により軟骨や靱帯の評価をする事であり、技師として診断に寄与する正確な撮影を行うためには膝の後傾角の把握が必要になってくる。1996年に当施設において手術前の186膝。 高位脛骨骨切り術(high tibial osteotomy以下HTO) の94膝。 Total Knee Arthroplasty(以下TKA) の94膝。の計測を行い報告したが、手術形式が変更になった術式もあり脛骨後傾角の再計測を行った。また前回の報告と比較検討し撮影肢位についての考察を行った。【方法】2006年の症例において東芝製viewerを用いて脛骨前縁(今回は脛骨粗面から10cm遠位の点に平行な線を採用した)に対しての内外側の後傾角を計測した。【結果・結論】HTOの手術は行われなくなったため、手術をしていない、TKA、Unicompartmental Knee Arthroplasty(以下UKA)、片側仮骨延長術(hemicallotasis)の4つに分類して計測を行った。計測結果、考察については学会場にて発表する。
X線検査
124
距踵関節撮影の検討
下肢
川崎 久充 福岡整形外科病院 放射線科
【目的】踵骨骨折が疑われる場合は病態把握のため距踵関節撮影は重要である。しかし一般に撮影法の統一性がとれていないこと、また当院では管球動作に制限がありアントンセン撮影が行えない事から、撮影補助具を用いずに再現性のある撮影法を検討した。【方法】患者様の楽な肢位で距踵関節を評価できる撮影方法として、体位は半側臥位。股関節、膝関節を屈曲し腓骨面をベッドにつける。足部の背側面をフィルムと平行にする。頭側より25度で入射する。【結果】受傷後および術後において苦痛なく撮影を行える。距踵関節の描出能は高く、体表面を基準とした体位をとるため個々の再現性は優れている。【考察】本来アントンセン撮影で問題ないが当院での管球動作に制限があるため検討を行った。患者様の体位においても無理なく、管球操作も容易になり撮影が円滑に行えるようになった。再現性を重視するため各施設において撮影法の統一が必要と考える。
MR
125
肝臓ダイナミックシーケンスLAVAの基本特性
MR6
篠原 暢孝 古賀総合病院 放射線技術部
【目的】肝臓ダイナミックシーケンスであるLiver Acquisition with Volume
Acceleration(LAVA)の基本特性を理解するために、ファントム実験によりSNR,CNRを測定し、従来のダイナミックシーケンス(3D-efgre,2D-FSPGR)との比較をおこなった。【方法】3つのシーケンスの撮像範囲を一定にし、SNRの測定に硫酸銅ファントム、CNRの測定にPVA(試料のT1値92〜620msec)ファントムを撮像し、得られた画像よりそれぞれのSNR,CNRを評価した。また、Flip Angle(FA)を変化したときのSNR,CNRも同様に評価した。【結果・結論】LAVAはコントラスト分解能に優れており、FA10〜12°で高いSNR,CNRの画像が得られる。また、そのデータを用いて、MIP画像等の作成が可能である。これより従来以上の情報を提供することが可能であると考えた。
MR
126
MRIにおける上腹部3Dダイナミックの画質改善の試み
MR6
西川 啓 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】MRIにおいて肝臓等の上腹部検査での3Dダイナミックの持つ診断に寄与する役割は大きい。そこで3Dダイナミックの画質に関与する各種因子を変化させ、その向上をめざした。【方法】マトリックスサイズやターボファクターからプロファイルオーダーまで各因子を変化させて、特徴ある3つの撮像方法を決めた。これを用いて、本研究内容を理解し同意したボランティアおよび臨床での撮像を行う。【結果・結論】診断価値の高い画像を提供できる撮像法を決定する。
MR
127
3Dダイナミック検査のシーケンスの違いによる撮影タイミングの検討
MR6
舩津 亮平 九州大学病院 医療技術部 放射線部門
【目的】Dynamic studyに用いるSequenceの収集方法は様々である。今回、当院で用いることが可能なSequenceで、造影タイミングの検討を行った。【方法】希釈した硫酸ニッケル(NISO4)水溶液の入ったファントムを注入器で動かしながら幾つかのsequenceにて撮影を行いその画像を用いて検討を試みた。【結果・結論】今回使用したsequenceでそれぞれに適した造影タイミングを検討した。